刃物的穴貫通

2018年07月11日 穴開けとヒルトの最終成形!


真鍮削ってここまでたどり着くのは大変!



「ピッカピカに磨き上げます!」

前回の作業の続きです。またしても作業記録ですので、ご興味が無い方はスルーして下さいね。

ちなみに以下の画像が前回作業の最終型です。この時点ではヒルト(鍔)の形状は外形を削り出しただけで、このままでは指に角が痛くてとても使い物になりません。ここから実用形状へ削り出していきます。ですが、その前にやることがありました。ハンドル部分に4mm径の穴二つと6mm径の穴を開ける必要があります。

 

本来であれば、ブレード材に穴を開けるのは焼入れ前に行う作業です。焼入れ後は鋼材がとても硬くなってドリルが使えないからです。しかし!ど〜しても開けたいのです!今回のナイフ作りで新しくやってみたいことを実行するためにはその穴が必要なのです。慎重に穴位置を決めやってみました・・・。手強い・・・。ううむ・・・手強い・。まずは6mm径から始めたのですが、表面から2mm程度削れた段階でドリルの歯が進まなくなりました。刃の回転が止まるし、さらにやり直すと滑っていますね。喰い付きが全くなくなりました。ドリルの刃先がすり減って使い物にならなくなったようです。そのまま放置はできないので次の手を考えます。

とりあえず、4mm径の穴二つを先にやってみようと方針転換。すると、やはり4mmでは抵抗が大きくてなかなか進みません。そこで、一旦3mmでやってみるとすんなり貫通穴が出来ました!なるほど!経が大きくなると抵抗が大きくなって削り難くなるのですね!そうか!!!モーメントの計算をすれば解りますよね!同じパワーで回していると半径が大きくなるほど弱い力で回転力は阻止されるとね。つまり細いドリルの刃の方が阻止されにくいというわけです。では次に進みましょう!


一旦3mm径で開けた穴を3.5mm径で拡張。さらに4mm径ドリルで所定のサイズに広げました。これが二か所。うまく行きました。では6mm穴にも再チャレンジ。まず、3mmドリルでセンターに貫通穴を開け、次に3.5mm、4mm、4.5mm、4.8mm、5mm、5.3mm、5.5mm、5.8mm、と地味に拡張を続けそして6mmに到達!なんとか貫通できました!二度とやりたくない作業です!ダマスカス鋼って硬いんですよ〜〜〜!!!(硬いってことは切れ味が良いということでもある!)

開けた穴のバリ取りをしたら、次はいよいよヒルト(鍔)の最終成形です。実はヒルトの仕上げ形状についてはいくつもの美しいナイフ写真を観てから決めました。刃先に向かってテーパーを付ける形状です。少しでも軽くするのと、流麗さが生まれますのでね。ではスタート!

作業途中に写真を取るほどの精神的余裕はなく、ひたすら細かなヤスリで削り続けました。荒いヤスリでやると早いのですが、繊細な作業でミスが許されないので、そのリスク回避のために時間がかかっても細目ヤスリの手作業にこだわりました。でもしんどい・・・。

片面の粗削りが終わったら反対側も同じく進めます。しかし、左右対称を綺麗に手作業で作り出すのは至難の業です。初めてやる作業ですのでセオリーが判らずでしたがなんとかほぼ目的の形状に到達。左右をチェックしながら細かな修正を加えていき、完成直前まで到達。ここからさらに細かなヤスリでRの仕上げです。地味です・・・実に地味な作業です。しかし!これなくして美しいヒルトには到達できませんからね!

左右を確認して削り終えたことを確認してから、耐水サンドペーパーで水研ぎです。まずは粗目でヤスリの後を消す作業です。丁寧に光の反射で確認しながらヤスリの目を消し続けます。ここは気持ち良いですね!徐々に真鍮の美しさが現れてきます。全体のヤスリ目が消えた後は、細かな耐水サンドペーパーで左右の削り誤差を修正していきつつ表面をさらに磨いていきますが、ここで完成はさせません。まだハンドル材の取り付けが残っていますので、その作業の際にどうせ擦り傷がつきますからね。以下がそのヒルトのほぼ完成写真です。ハンドル材を取り付けた後ピッカピカに磨き上げます!



 

ハンドル材はギター作家の谷口さんからギター用の端材が届く予定になっています。今回はキルト・メイプルとフレーム・メイプルのようです。私の方も堅い木が嬉しいです!まだ谷口さんの作業が終わっていないので、端材の切り出しが終わり次第お送りいただくことになっています。楽しみです!いよいよ次回は最終作業となる予定です!


本日の結論
今回の作業は久々に充実感を味わいました!

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