読了的三連続

2018年05月19日 久々の三連読了!



「没入し自分の脳をフル動員して楽しむ」

天気が良くて暑かったり、急に寒くなったり、そして大雨になったりと、目まぐるしい天気ですが・・・。余り出掛けたくない精神状態のときは読書に没頭してみましょうかね。と、ちょっくら近所のBOOK OFFへ。読みたかった本一冊と、好きな作家の未読本を見つけたので合計三冊購入しました。まあ、この様な買い方をした場合には、しばらく放置して置いて、かなり暇だなあと感じた時に引っ張り出して読むのですが・・・。今回はすぐに読み終えてしまいましたよ。読書って、勢いづくと次々に読みたくなるんですよね!

まずは東野圭吾「ラプラスの魔女」映画化されて盛んにテレビでCMが流れていましたので、原作を読んでみようと買いました。「彼女は計算して奇跡を起こす。」とサブタイトルが付いています。しかも「東野圭吾が小説の常識をくつがえして挑んだ、空想科学ミステリ」とも書かれています。「小説の常識」ってなんだろう?と、気になったので一気に読み通しました。

ううむ・・・。なんだかなあ・・・。面白いし言っていることは分かるし、そこまでの能力があればそれも可能なのだろうけれど、最後の最後で破綻している気がしました。そう都合よく自然は作用してくれないって!以前見ていたアメリカのテレビドラマ「ナンバーズ」と基本的な考え方は同じですね。「世の中はすべて数式で動いている」その数式が解ければ、あらゆる現象の予測が出来るとね。

大型の竜巻が通過する進路を予測することは出来ます。予測してその通路上にある仕掛けをしていると。しかし、竜巻が予測したピンポイント地点を通過することはあっても、意識して通過させることは出来ないと思うんですよ。この部分が読み終えてもずっと腑に落ちないままでしたがね。だから「空想科学ミステリ」と称しているんでしょうね。

二冊目は同じく東野圭吾「聖女の救済」例のガリレオ・シリーズです。福山雅治の当たり役「湯川教授」が警察と一緒に不可解な謎を解くストーリー。今回は割と早い時点で湯川教授が殺人トリックの謎を解くのですが、いつまでもその解を口にしないと・・・。何故なら「理論的にそのトリックは可能であるが実行できない」という矛盾に満ちたもの。湯川教授いわく「そのトリックは虚数」であると。理論上が存在するが、現実には存在しない完全犯罪の「虚数」的トリックとは何か?「その時刻に確実に北海道にいた容疑者が、どうやって東京で殺人を行えたのか?」という「虚数の意味」を探すミステリーでした。面白い結論でしたが・・・。やはり「虚数」としか思えないトリックでした!

三冊目は楡周平「無限連鎖」腰巻きには「東京炎上!」の文字が大きく記されています。「ん?東京が炎上する小説なのか?」と買ってみました。もともと楡周平の小説は大好きでほぼ読み尽くしておりましたが、この本は未読でした。2002年11月刊の小説ですので、たぶんアメリカの9.11テロの直後に書き始められた本だと思われます。

簡単に書くと「テロ物」です。まず前半はアメリカがアラブ系テロ集団によって甚大な被害を被ります。その方法はかなり綿密で、アメリカの重要拠点60か所を膨大な量のC-4プラスティック爆薬で同時に破壊するというもの。マンハッタン島は孤立し、さらにアメリカ中の流通拠点が麻痺し、交通網も遮断され大混乱が続きます。その三か月後、今度は日本がテロ集団に狙われると・・・。此処から先はネタバレになるので書きませんが「想像もつかない武器で東京を壊滅させようとするテロ集団」との戦いが描かれます。終盤になりアメリカ大統領と日本の総理大臣の重大な決断が極秘で下され最終局面へ!

テロ集団が設定した東京壊滅へ向かう時間との戦い、そして東京は救えるのか?とハラハラしつつ597ページの長丁場を読み終えました。後味はちょっと微妙な部分がありますが、楡周平らしいダイナミックな展開を楽しみましたよ。この小説の中で感じたのは、アメリカの大混乱は勿論世界的な混乱を招くということ。さらにもし東京が壊滅したらこれまた世界的な経済的大混乱が生じるということですね。そのためにアメリカ大統領もその権力を総動員して解決に向け協力せざるを得ないと。このあたりの駆け引きが面白いですね。日本の総理大臣の立場での思考も面白かったですよ。「解決のためにはその方法しかないというのに決断できない立場」と言うやつ。本当にこの場面になったら総理大臣はツライだろうねえ。

小説は文字の列記です。具体的な映像はそこにありません。しかし、それだからこそ想像力が増幅し、自分の経験や知識がその文字列を補完しつつ読み進めるのです。数時間集中して「一冊の本の中に没入し自分の脳をフル動員して楽しむ」のが理想的な読書スタイルですね。何日にも分けて少しずつ読むのは性に合わない私です。

そして思うのは、小説は文字の列記であるがゆえに「何でもあり」の小宇宙が作れるとね。今回読んだ三冊も荒唐無稽な話ばかりです。現実に起きるとは思えない内容。でも小説だから「何でもあり」で成立しています。ドキュメンタリー作品も好きなのですが、完全に虚構であることを楽しむのも好きなんですよ!


本日の結論
未読本の在庫が無くなるとソワソワする!

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