彷徨的図案化

2018年04月16日 Larry Carlton本を買ってみた!



「ペダル1個で私の人生はすっかり様変わりしました」

少し前の話になりますが、YOUNG GUITAR の「特集・Larry Carlton 」が発売されたと知って、すぐに一番近い大きめの本屋に車を乗りつけました。置いてありそうな音楽雑誌コーナーを探してみましたが見つからず。一階二階と動き回りましたが気配もなく・・・店員に聞いてみましたところ「その様な本は入ってないですね!」との一言で撃沈!

店内を歩き回って分かったことは、以前はかなり豊富な品揃えだったのですが、どうもしょぼくなっていました。本以外のものもたくさん売っていて、本屋としての威厳が無くなっていました。そうか・・・これが本屋の現状か・・・。と本屋好きの私だったのですが切なくなりましたね。と思いつつ自宅に帰って他の本屋に行く気も起こらずそのままに。

しばらく仕事でドタバタする日々が続いていたので、ついこの本を購入する機会を失っていました。数日前に Facebook で知人が「特集・Larry Carlton 」を手に入れたと書き込んだのを観て思い出し、すぐに amazon へ発注!2日後に届きました。やはり店舗を構えた本屋はツライ時代になりましたよね・・・。

表紙の Larry は少し若いですね。かなり前の写真でしょう。この本の内容は50年以上に渡る Larry Carlton の偉業の紹介や、その間に行われたインタビューの再録など盛り沢山です。そして私が気になっていたのは、Larry の機材構成の解説でした。機材写真とともに、その構成をわかりやすくイラストで解説されていました。2つの説明図がありましたが・・・。それを観て思わず笑ってしまいました。

構成図には「禅駆動」がイラスト化されて使われていたのです。誰が描いたんだろこの図は?と思いつつ眺めておりました。この構成は今年2018年2月来日の際の機材ですね。ES-335 からダイレクトに禅駆動へ繋がっています。



次に見つけたのは、2014年来日の際に観たペダルボードの構成図でした。こちらには「弾駆動」が搭載されています。



2007年に鬱病で苦しんでいた私は鬱感覚を 少しでも忘れるために「なにか作ってみたい!」と生まれて初めてのペダル製作に取り組みました。まったくの手探りで始めた作業でしたが、なんとか二週間後に試作機の禅駆動が出来上がりました。それから細かな修正を加えつつ作り続けて、製作開始から10年が過ぎ、こうやって Larry Carlton の機材として専門誌でも紹介して頂ける様になったのには感動します!

使用していただいたギタリストの方々は、まずスタートが是永巧一氏 → 松川純一郎氏 → ・・・ 梶原 順氏 → ・・・ → Mr. Henry Kaiser → Mr. Paul Jackson Jr. → Mr. Howard Lees → ・・・・・・ → Mr. Larry Carlton → Mr. Robben Ford →  ・・・・・・ Mr. Jorge Santana → Mr. Lee Ritenour → Mr. Ray Parker Jr. と次々に続いていき現在に至っています。(途中省略されたギタリストの皆様済みません!)

そもそもは、2007年当時有名だったいくつかの市販オーバードライブを試した結果どれも気に入らなくて「では自分で作ってみたらどうなる?」と自分のためだけに作ったペダルでした。野望も野心も商売する気も全く無いスタートでした。完成後、是永巧一氏に洒落としてつけてもらった名前が「禅駆動」この時点で終わるはずの遊びでした。ところが・・・、口コミがその後の展開を導いていきました。10年掛けて次々に繋がっていった結果、67か国へ広がり、そしてこの本への掲載となったわけです。

鬱病からは2012年夏に脱却しました。その時、残りの人生に少し希望が見えてきました。生きていくのが日々ツライ鬱の時代を抜けて、今があることはとてつもない幸せだと感じています。この10年間にはいろんな誘いがありました。権利を売らないか?もっと事業を拡大しないか?広告展開しないか?中国で量産しないか?とか、30か国以上のディーラーから輸出のオファーを受けたりしました。しかし、私はそれらすべてを断りました。私はそれらを目指していたのではなく、自分自身の心の安定と、日々自分の手でモノを作る喜びを味わいたかったのです。自分の手の届く範囲だけを考えて、それ以外の商売のことに煩わされたくなかったのですよ。

結果として、ユーザーと直接向き合いコンタクトすることで世界中に多くの友人達を得ました。特にアメリカにはとてつもなく仲良くなった Mr. Henry Kaiser がいます。彼の豪邸にいつでもホームステイさせてもらえる環境ができました。彼らと英語でちゃんとコミュニケーション取れるようにと、初めてのホームステイ直前の63歳で英会話スクールに参加し学び直しました。外国の有名なギタリストたちと英会話で意思を通じさせるというようなことは、自分の人生ではまったく想定していなかった事態です。まだまだ下手な英会話ですが、それでも結構楽しめます。

ペダル1個で私の人生はすっかり様変わりしました。父は67歳で他界しました。私は一か月後には66歳になります。父と同じ運命であれば余命1年です。果たしてどこまで生き続けられるかわかりませんが、鬱病に突入した54歳頃に想像していた未来・・・いや想像できなかった未来より、現在そしてこの先が精神的に豊かになったのは確かですね。


本日の結論
今日もまた感謝の念が湧き上がります。

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