幽霊的退治組

2018年03月29日 興奮のルツボと化したライブ会場!

2018年3月28日セカンドステージにゴースト・バスターズがやって来たのだ!



「また一緒に夕食を食べようよ!必ずだよ!」

まず何から書き出せばよいのだろう?と悩んでしまうほど昨夜の出来事は濃厚で面白かったのですよ。でも悩んでいても進まないので、経緯を順を追ってきっかけから書いてみましょうかね。かなり長くなりそうですが、ご覚悟はよろしいか?

まずは遠い過去の話から。
2010年9月にプライベートでアメリカへ行くことになった私は、旅立つ直前にダメモトで数人のLA在住プロギタリスト達に「あなたの家へ会いに行ってもよろしいでしょうか?」とメールを送ってみたのです。もちろん私のペダルのユーザー達ですが。その結果、全員から「OK!会いに来てください!」と返信がありました。その中のひとりが Mr. Paul Jackson Jr. でした。ギタリスト是永巧一氏も「 Mr. Paul Jackson Jr. は神!」と当時言っていたほど敬愛しているのでした。彼についての詳しい情報はネットで調べてください。代表的なことは、マイケル・ジャクソンのスリラーを始めとする多く曲を彼が弾いているということですね。私も大好きなギタリストです。カッティングの名手で玄人受けするギタリストですね。

2010年9月9日の夕方にLA で会えることになり、自宅ではなく Mr. Paul Jackson Jr. が指定したレストランで一緒に食事することになりました。奥さんと娘さんも一緒に来られました。楽しいひと時を過ごしたその後、彼は「日本に度々行くので、日本に行くときは連絡するからまた会いましょう!」との言葉を交わして別れました。ちなみに、Paul はかなり日本語の単語を知っているようでした。

その後、何度かメールのやり取りは続いていました・・・。そして数年前に突然「日本に行ったのだけれど、スケジュールがきつくてあなたに会えなかった。次に行くときは必ず連絡するからね!」とメールが届きました。さらに年月が過ぎて、メールのやりとりも滞りがちに・・・。

ところが今年3月15日のこと、Paul が Ray Parker Jr. と一緒に来日するとの情報を知りました。まだ何の連絡もないけどこちらからコンタクトしたほうが良いだろうと、メールで「今回は会えますか?」という内容を送ってみました。しかし・・・直後には返信が来ず。一体どうしたんだろう?と思い始めた3月23日になり突然「日本で会いましょう!」と返信が届きました。

さて、どこでどう会おうか?としばし悩みましたが東京でのライブは2日間だけです。その前後を考えても彼はプライベートな別スケジュールを確保し辛いだろうと判断。やはりいつものパターンで、私が楽屋へ面会に行くほうがお互いに一番楽で確実だろうと結論を出し「3月28日のセカンドショーの後に楽屋で会いたい」と面会場所についてのリクエストを送りました。

数度のメールやり取りののち、Paul からは「Billboard Live Tokyo へサウンドチェックに行った際、ゲストリストの手配をします」との返信がありそれを待ちました。つまり、当日のお昼過ぎにサウンドチェックがあるのでその時に手配するというのです。そうなると予測では「15時頃に手配完了するかなあ?」でした。リクエストは3月28日の夜、セカンドステージとしていましたので、それから参加メンバーを集めるのは結構きついですね。

そして予想通り、3月28日15時きっかりに Paul から「ゲストリストは4名分で手配完了!会えるのを楽しみにしています!」との最終結論が届きました。さあ!バタバタの人選開始です!Billboard Live Tokyo には20時には着きたいとの判断で行動開始。ところがいつものごとく、Paul Jackson Jr. に会いに行きたいと以前から約束していた方々へ連絡しても仕事で無理とか、鳥取にいますとか、これから大阪に向かいますとか・・・キャンセルが続いて時間が迫る中、参加者が私と是永巧一氏の2名だけという事態になっていました。

こりゃイカン!とFacebook で募集するも参加者が現れず!そこで参加条件を緩和したとFacebook に書き込み、時間が迫ってきたので会場へ向かうため家を出ました。とその時、藤原さんから「ギリギリで仕事を終えたので飛び出します!」との連絡が。会場入りは20時半ころになりそうだとの予想です。是永氏も同じくらいのタイミングになりそう。是永氏も藤原氏に会いたがっていたので好都合でした!

私はちょっと早めに行って、会場受付でチケットとバックステージパスを受け取りました。やがて是永氏と藤原氏が到着。無事に3名が開場時間前に集まることが出来ました。結局、招待チケットは1枚残してしまいました・・・。勿体無い・・。ふう・・・。

で、実は家を出る前に一つの事件が起こっていたのです。私はライブに行くにあたっていつも手土産を持っていくのですが、Paul にはすでにペダルを3個渡していますので、彼には別の気の利いたものにして、問題は Ray Parker Jr. には何を持っていこうか?と。すると、ワケありで人手に渡らなかった弾駆動が一個残っているのを思い出しました。まずはサウンドチェック。問題なし!ネームプレートを貼り付けて完成です!その画像を Facebook にアップロードしたところ、しばらくしてから「名前の綴りが間違っているよ!」とオランダのユーザーから指摘の書き込みがありました。よく見ると「Parker」が「Paker」になっていて大慌て!すぐにネームプレートを作り直して事なきを得ました。ナイスアシスト!

前置きが長くなってしまいましたね。

Billboard Live Tokyo 入り口には NOKKO のポスターが飾ってありました。時間待ち中に宣伝を兼ねて全員で記念撮影!


とその時!怪しげな集団が4名やって来ました。よく観ると「ゴースト・バスターズ」のコスプレです。かなり完成度の高い再現性でした。今日のステージの出演者達かなと思っていたら、チケット売り場に並んでいました。え???お客なの?そしてトイレでばったりその中の一人に会ったので聞いたら「Ray が来日したので来ないわけにはいかないんです!単にお客ですから出演はしないですよ」と笑っていました。Ray Parker Jr. は映画「ゴースト・バスターズ」のテーマソングで有名ですからね!

我々は、カジュアル席について演奏開始を待ちました。30分後演奏開始。

気持ち良いサウンドが響き渡り、会場全体が柔らかい緊張感で包まれていました。リズムはタイトなのに、全体像が柔らかく楽しいってな感じですかね。私は Paul Jackson Jr. のカッティングにずっと耳を傾けていました。使っていたギターは PRS のシングルカット・セミアコ2本でした。もちろんソロもあり、ギター好きにはたまらん状況です。ホレボレします!

Ray Perker Jr. はお酒を時々口にしながら余裕ぶっこいて歌い続け演奏し続け、お客はノリノリ!何と言えばよいのか「弛緩した精神状態で踊り続けるフロア客」という感じですかね?おなじみの曲が次々に鳴り続け一気にラストまで突っ走りました。そしていったんお約束の最終曲のご挨拶。しかし、まだあの「ゴースト・バスターズ」は演奏していませんでした。Ray Perker Jr. やらないわけがない!この状態は、Larry Carlton が「Room335」を弾かないまま終わるのと同じことです。やらないわけがない!そこでアンコールの拍手が続きました。

とその時、先程の「ゴースト・バスターズ」コスプレ4人組が動いた!ステージ上からよく見える階段の上に彼らが立ち上がり陣取ったのです。背中の機械類にはLEDが仕込んであって光り輝き、薄暗い場内では嫌でも目立ちます!Ray Parker Jr. に対するアピールなのでしょう!「俺達はここに来ているぞ!」とね。



その時、アンコールに応じるため舞台に戻ってきたメンバーがそのコスプレ組に気づきました!特に Ray Parker Jr. は大きく一言「カモ〜〜〜ン!!!カモ〜〜〜ン!!!」とコスプレ組に声をかけステージ上に引っ張り上げたのです!戸惑いつつステージに上るコスプレ組!!!驚きの展開!この画像をよ〜く見てください。左側の Paul Jackson Jr. はギターを置いてスマホでコスプレ組の撮影を始めたではないですか!Ray Parker Jr. も演奏そっちのけでスマホで彼らと記念撮影!ステージ上は異様な興奮に包まれていました。もちろんお客さんたちも大喜び!写真撮りまくり!ステージのメンバにとってこれはハプニング!もちろんコスプレ組にとっても予期せぬ事態だったのです!



それがひとしきり落ち着いたのち・・・。おなじみのあのサックスをフィーチャーしたイントロが流れ始め・・・。コスプレ組も一緒に「ゴースト・バスターズ!!!」の掛け声を歌いつつ踊りながらお客を煽っていました。何だこれは?まるで仕込みの様でしたが、完全にハプニングです!あのコスプレ組は人生最大の興奮を味わっていたでしょうね!私自身もコレを書きながら涙が浮かぶほどですから。

大興奮のうちに演奏はすべて終了。コスプレ組も意気揚々と引き上げていきました・・・。ところが・・・。私達3名はいつものごとく、楽屋前で待機です。メンバーの着替えが終わるのを待ちました。しばらくして係員に名前を聞かれ、Paul から OK が出ていると楽屋内に案内されました。事前に「いつもの弾駆動Tシャツを着ていきます!」と伝えておいたので、楽屋を覗き込んだ途端に「 Hi Tanabe-san! 」と Paul から声を掛けてくれました。そしてハグ!前回LAで会った時は Paul にヒゲがあり、私はヒゲなかったのに今回は逆転していました。




こちらが2010年面会時の記念写真

この時自分に対してとても不思議な感覚がありました。「Paul Jackson Jr. と友達のように振る舞っているお前は誰なのだ?」とね。とてもフレンドリーな Paul と久々の再会でしたが、つい先週も会っていたかのように対応する Paul のホスピタリティーがありがたかったですね。もちろん、是永氏や藤原氏も色んな話をして盛り上がっていました。サインを貰い、記念撮影したのちに「他にはどんなペダルを作っているの?」と聞かれたので「FUZZ も作っているし、最近では サンタナの音を出すペダルや、ブライアン・メイのサウンドを出すペダルをつくていますよ」と返事したところ「ブライアン・メイ サウンド?オオオ〜〜〜それは良い!気になるねえ、オーダーするかも!」と言っていました。

 

はい、次は Ray Perker Jr. とお話する番です。まずは持ってきた「弾駆動」をプレゼントしました。「綺麗だね!」から始まって「このサイドスイッチの意味は?」などと聞かれ説明。Paul も横から「とても良いペダルだよ!」と援護射撃。私は Paul に「弾駆動の詳しい使い方を Ray に教えてあげてください」とお願いしたところ「Ray は弾駆動を気に入って使い続けると思うよ!」と言っておりました。


すぐに Ray は「記念撮影しよう!」と弾駆動をとりあげてポーズしてくれました。右側には藤原氏が見切れていますね!左側には是永氏の後頭部が見えています!仕上げに Ray のサインも頂いて無事任務完了!となった時!!!あの「ゴースト・バスターズ」コスプレ組が楽屋に案内されて入ってきました!会場側が気を利かせて呼び込んだのでしょうね!


その途端!バンドメンバー全員の盛り上がりは異常なほど!記念撮影大会の始まりです!もうそりゃ大騒ぎ!コスプレ組もまさかこうなるとは思っていなかったようでしたがとても楽しそうに対応していました!もちろん楽屋には「ゴースト・バスターズ」のテーマソングがず〜っと鳴り響いておりました!!!「ゴースト・バスターズ」コスプレは世界中にファンの支部があり多くの方々が楽しんでいるようです。彼らが担いでいるゴースト・バスターズ機材も映画を元に忠実に再現されているとか。





大騒ぎがひとしきり収まった所でそろそろお別れです。
Paul からは「次はいつLAに来る?ああそうか・・・1月はNAMMに来たんだよね?あの時私はテレビの仕事でどうしてもNAMMに行けなかったんだよ!次にLAに来る時はメールしてね。また一緒に夕食を食べようよ!必ずだよ!」と嬉しい言葉をかけてくれました。Paul の場合はこれが社交辞令ではなく実際に対応するってところが素晴らしいですね!またお会いしましょうと伝えて楽屋退出!

我々は余韻を楽しみながら駅へ急ぎました。おふたりとも充分に楽しんでいただけて私も嬉しかったですよ!特に是永氏からは「Paul Jackson Jr. が来日したら是非一緒に会わせてください!」と既に7年半前に頼まれていたのです。それがようやく実現できて一つ肩の荷が下りた感じです。

帰路、電車の中でこの日の出来事を反芻していました。そして来日ミュージシャンの楽屋へ足を踏み入れるといつも思うことがあります。2005年3月鬱病に翻弄され始め一時期は生きることを諦めかけた自分が、今こうして世界的に有名なミュージシャンたちと気軽に声を掛け合っている状態は一体何がそうさせているんだ?とね。

私が鬱病にならなければPEDALを作り始めることもなく、Paul Jackson Jr. は一生私の名前を口にすることはなかったでしょう。Larry や Robben 、Henry Kaiser にしてもそうです。Ray Parker Jr. に会うことも決してなかったはず。私の人生は鬱病によって大きく転換し、人生の後半が救われたのかも知れません。

今、鬱病で苦しむ方々へ伝えたいのは「自分が動きを止めなければ、いずれ何かが変わる」ということ。動きを止めたらそれで終わりです。まずは小さな動きから始めればいつの日か大きく動いているのに気付くはずですよ。そして、生きていることが楽しいと感じられる日が来ますよ。昨夜の私がそうでしたからね!


本日の結論
コスプレ組がどこの誰だかまったく知らぬままお別れしました!残念!

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