評価的職人技


2014年10月11日 評価される事について。

前回と同じ写真でごめん!


「評価される事で職人は進化する」

ノーベル賞について前回書いたのですが、他人から賞されることについて考えてみました。

ノーベル賞物理学賞は「人類に貢献した業績」が賞されるわけですから、貢献するターゲットは全人類の70億人ですよね。当家内の電球をほとんどLEDに交換し終えました。当然、消費電力量はかなり削減されました。白熱電球に比べ1/10の消費電力だとすれば、どれだけの日本の原子力発電所が廃炉出来るでしょうか?白色LEDがもたらすエネルギー削減の威力は凄まじいものがあります。

自宅内を見渡してみると、毎日何時間もつけっぱなしのテレビがいい例ですよね。ブラウン管時代の消費電力と、液晶テレビになってからの商品電力はどれほど違うんでしょうか?あっ・・・今気付きましたけど、液晶テレビになってから画面がどんどん大きくなっているので、テレビの消費電力はそう減っていないんじゃ?とね・・・。

私が作っているギターペダルは、今までに多くのギタリストの手に渡って行きました。受け取ったまま、なんの音沙汰もないギタリストがいます。すぐにYouTube にサンプル動画を載せてくれたギタリストがいます。褒めすぎるほど褒めてくれたギタリストもいます。そして、会いに来てくれたギタリストや、ライブに招待してくれたギタリスト等もいて様々です。

私が作っているペダルはとてもターゲットゾーンが狭いものです。世界中のギタリストはどれほど存在しているんでしょうか?更にその中でエレクトリックギター弾きであり、歪系を好み、さらにその歪みの中でもブルース系やジャズ系のギタリストがターゲットだとすると、とてもとても狭い範囲でしか求められていないペダルだと思うのですよ。でも、本当に必要としていたギタリストもいると。例えば、先月マカオから来たお礼メールは以下のようなものでした。

Thanks for inventing the kudo series for us guitar players from all over the world.

They are truly great gears!

泣きたくなるほどの褒め言葉です。

「和風総本家」というテレビ番組をご存知でしょうか?「あなたのメイドインジャパンを教えてください」というコーナーがあります。その番組の中で海外に取材に行き現地の方に問いかけるのです。そうすると「うちにはこれがある」とか「仕事で日本製のこれを使っている」とか日本ならではの職人技で作られた道具が紹介されるのです。

さらに、その道具が海外で実際使われている様子を取材し、その道具を作った日本の職人の製作行程を取材し、海外と日本両方の取材対象にその取材映像を見せるのです。使用者は日本の職人の繊細な製造工程に驚き大きな感謝を述べ、日本の職人は異国の地で自分が作った道具が使われている様子に涙するのですよ。そして私は、その職人達の喜びの涙を観ながら更に涙するのです。

作っている立場として書けば、職人達は褒められる為に作っているわけではありません。もちろん私もそうです。ユーザーが喜んでくれる事だけを考えて作り続けています。モノを作り販売するという行為は商行為です。対価によってそれは購われます。つまり、支払いを受けた段階で「商行為」は完結するのです。

ですから、それ以降の「評価」は予期せぬオマケです。「評価」は決して支払いだけでは満たされない精神的な「対価」です。職人は淡々と日々道具を作り出すだけですから、予期しない「対価」だけにその喜びは大きいと。

料理人は「美味しかったです!」と直接伝えられるチャンスが多いのですが、いわゆる「道具」を作っている職人は「誰が使うか分からない」ルートで自分が作ったものが販売されている為、その行き着く先を知る事はなかなか出来ず、その結果直接の「評価」を受ける事が少ないのですよ。また、使用しているユーザーも誰が製造しているのかを知る機会が少ないのですね。

私の場合は受注生産の上に直売ですから、誰が使うのかがオーダーを受けた段階で判明しています。もちろん、オーダーしたギタリストも「誰が製作しているのか」を知っています。そして、ユーザーも試奏後すぐに評価を送ってくれる事が多いのですよ。

もちろん「評価」とは褒められる事だけではありません。
評価される事で職人は進化するとも思えます。ありがたい事です。


本日の結論
職人は職人が好きです!

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