完了的電源系

2011年02月06日 電源トランスをバラすか悩む?



「かなり上質なミステリーでした」

「ミスディレクション」マジックのトリックに使われる言葉です。観客の視線を巧みに誘導して、トリックから眼をそらさせること。あるいは、観客に勘違いを起こさせてトリックに気付かせないこと。もしくは、無意識の常識の裏をついておこなうトリックのこと。観客の思い込みを利用するトリック。私はそう解釈している言葉です。

「ミスディレクション」を巧みに操作して、デヴィッド・カッパーフィールドは万里の長城をすり抜けました。そして自由の女神を観客の目の前から消してみせました。目の前に見える光景の中で、どの部分が「ミスディレクション」であるかに気付くと、それらのマジックのトリックはあなたにも解明できます。

Fender Hot Rod Deluxe は、なんとか機能を回復したご報告は前回しましたが、鰐口クリップの仮留めで配線していましたので、まだ最終的な仕上げが済んでいませんでした。今後アンプを恒久的に使用する為には、配線をフィックスしなければなりません。その為のパーツをオーダーしました。そして、前回の最後に「電源トランスは内部を修理できないのが悔しいね!」と書いて終わっていました。

でも、それは本当でしょうか?本当に修理できないのでしょうか?「電源トランスは内部が修理できない」と、私が勝手に思い込んでいたからではないでしょうか?自分自身で「ミスディレクション」をやっちまったのではないでしょうか?トライもしないうちに断言するのは非常に危険なことです。

世の中に起こる出来事に対して人は安易に証拠も確認せず「●●だからね!」と断言しがちです。でもその思い込みに対して「実は▲▲だった!」と真反対の事実が、時が経ち判明することは多々あるのです。常に自分の思い込みに対して危険であると、思考のコントロールを出来るだけし続けようと考えている私にしては、あまりにも安易な思い込みでした。

では何故、電源トランスの内部修理が出来ないと思い込んでいたのか?それは見た目の構造にありました。いかにも堅牢に作られている電源トランスは、そのパッケージを見た目だけで分解できないと無意識のうちに思い込んでいたのです。そもそも、みだりに分解するようなパーツではありませんしね。また、分解するような用途のパーツでもありません。でも、人が組み立てたモノで、分解できないモノなどそうそうあるはずがないと思うのですが・・・。

では、ここでもう一度シャーシを降ろして電源トランスの分解にチャレンジするのか?と問われれば、ちょっとだけ躊躇する私です・・・。と・・・ここまで書いたところで、ふと別の簡単な解決方法を思いつきました。

実は、昨夜から電源トランスの「VIO」コードを切らず、簡単に配線出来る方法は無いのか?と考えていたのですよ。「VIO」コードを切らなければ、いずれ気が熟した時に電源トランスを分解して修理する可能性も残りますのでね。

すると、とても簡単にフィックスする方法を思いついたんです。用意するのは10cm程度のコードだけです。テスターリードが導通無しで壊れてしまいましたので、あのケーブルを再利用してやってみます。500Vが計れるケーブルですから大丈夫でしょう。ではやってみましょう!





CP3とCP5の基板側端子には、真ん中に穴があいています。そこへケーブルの両端を差し込んで電源トランスから出ているコード先端のメス端子で押さえ込んで圧着しましょう。


以下のように、メス端子でケーブルをしっかり圧着して配線セット完了です!



次に、他のアンプからパイロットランプのバルブを拝借してきました。バルブのセット完了!それでは電源スイッチを入れてみましょう!ON ! 見事に点灯(あたりまえぢゃん!)



意外にも最も簡単な配線方法で、作業があっさり完了してしまいました。ではギターも繋いでスタンバイスイッチを入れ、サウンドを確認してみましょうか!ふっふっふ・・・ちゃんとしたサウンドが出ています。配線も安定したわけですから、これでコンプリート!だということですね。お疲れさまでした〜!ちなみに、最初からこの配線方法を採用していれば1円も使わずに完了したんですけどね〜〜〜!!!


見た目は、初日と何ら変わらないのですが・・・完成形です!

振り返ってみれば、作業開始から今日まで11日間でした。電源が入らない謎からスタートして、徐々にその正体が見えてくる行程は、ミステリーを読むようでとても面白いですよ。読み始めてすぐに犯人が分かるようなミステリーは面白くないですよね。映画ならどんな複雑な事件でも約2時間で犯人が判明しますが、今回は11日間も楽しめたのですから、かなり上質なミステリーでした。そして「ミスディレクション」はどこにあるのか?と、マジックのトリックを解明したような快感もありました。

もし、今回のトラブルの原因が最初から分かっていたら、たったの10分で終わってしまう修理内容でしたね。でもそこにたどり着く行程でドタバタしながら、私の知識は格段に増えました。チューブアンプの勉強をかねてやっている作業ですから、試行錯誤を重ねることや「何故だ?」と考え続ける行為が私自身の為になっていると感じますね。

今回の作業にあえてもうひとつ追加するとすれば、キャスターの取り付けですかね。部屋の中で動かすのに便利そうですから。いずれ気が向いたらやってみましょう。ということで、Fender Hot Rod Deluxe の社会復帰プロジェクトはこれにて終了です。11日間に渡るご清聴ありがとうございました!ちなみに、この11日間で感電した回数1回!

最後になりましたが・・・。

このような機会を与えて頂いた、気仙沼在住ONODERAさま!ありがとうございました!感謝しております!

日々、的確な助言を与えて頂いた、千葉県在住荒井サポーターさま!ありがとうございました!

頻繁に応援電話までかけて頂いた、株式会社アルニック野村社長!ありがとうございました!


本日の結論
いっけね〜〜〜!!!まだフットスイッチ作っていなかった!そのうち純正買うか〜!

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



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