削出的禅駆動
2008年03月16日 ふっふっふ出来上がった!
 

アルミ削りだしケース(文字彫り込み)

「SUPREME LIMITED」

昨年末からずっと秘密裏に進行していた「禅駆動開発プロジェクト」がある。関係者のみしか知らなかったのだが・・・関係者とはたったの3人だけだ。そもそものこのプロジェクトのスタートは、一つの疑問から始まった。「某高級エフェクターは重厚なアルミ削りだしケースが売りだが、それによってサウンドが変わると聞いたけど・・・どう違ってくるんだろうか?」との素朴な疑問だった。

さらにもう一つ「アルミ削りだしオリジナルケース」という個人製作では決して使えない素材に対するあこがれもあったのだ。そんなある日の事、私は 「禅駆動TWIN」を作ってみた。本来であれば、まるっきり同じ回路構成を2つ組み込みたかったのだが、使っているケースのスペースがそれを許さなかった。そこで1回路はコントロールにトリマポーテーションを使ってパーツ構成を小さくし、疑似2回路にしてみたのだった。出来上がってみるとこれはこれで大好評だったのだが・・・。いずれ大きなケースで完全2回路化をやってみたいとの私の願望は残っていた・・・。

昨年12月末になり一つの提案が届いた。「コラボで限定版の禅駆動を作りませんか?」とS氏より問いかけられたのだ。その提案内容は、以下の様なものだった。まず私がケースのデザインを決めた後に・・・。

1 甲がアルミ削り出しでケースを3個作り乙へ提供する。
2 乙が禅駆動回路を製作しケース内に組み込む。
3 丙が最終サウンドチェックをする。
4 乙は3台を製作し、甲乙及び丙が成果物を1台ずつ所有する。
5 甲乙及び丙はお互いに成果物及び技術を提供し、相手方に対価は請求しない。

もちろん私は「乙」である。ほほう!面白いではないか!それが本当に実現出来るのであればやってみたい!かくして「どうやろうか?」と思考の日々は続いた。自由に設計出来るとなるとなかなか思考は自由に動かないもの。先ず最初にやったのは「ケースのイメージデザイン」だ。これは私が原案を考えた。回路のレイアウトが影響するので人にまかせるわけにはいかないからだ。

2月中旬になりようやく概要がまとまって来た。盛り込むべき性能も決まって来た。今までと同じ性能では面白くないので、少しだけ進化させる事にした。先ず電源の提案。今までは9V仕様で作っていたが、これを18V仕様にしたらどうなるのだろうか?ただし、9Vも使えるようにしておきたいので、これはスイッチングで両方使えるように考えた。外部電源だと自動的に9Vになる。センターは電源OFFとなる。

電池交換は裏蓋を開けずに出来るようにと、GOTOHのギター用パーツを採用した。006Pを2個入れられるものだ。かなり大きい電池ケースなので、設計段階でスペースの考慮がかなり必要だった。電池ケースはオーダー品だったので、入手まで2週間かかってしまった。電池ケースはプラスティックなので、ノイズ対策のために内側全面を銅の薄いシートで覆い尽くすことにしよう。

好評のクリッパ切り替えスイッチも、両方の回路に加える。これによって、歪みの組み合わせが6種類となる。さらに、2つの回路の配列順を前後入れ替えられるように切り替えスイッチを付ける。この機能はどの程度の使い道があるかは未知数だが・・・。

これらの機能を入れつつ、S氏による最終的なケースデザインの微調整を行ってもらった。当初私が考えていたデザインから少し変更があった。加工上の問題点が出たのだ。餅は餅屋である。仕上げはS氏にお任せしていよいよケースは2月末に工場で設計・製作過程に入った。

そして!ついに3月15日朝、アルミ削りだしケースは届いたのである!とりあえず1個だけだが、これは実際にパーツを組み込んでみて、不具合が無いかどうかを確認するためだ。色は渋いシルバーだ。表面の耐久性を考えて、アルマイト加工がしてあった。

ケース以外のパーツは全て揃っていたので、朝からすぐに作業を開始した。実際に作業を進めてみると思っていたより手間取ってしまった。今までやった事が無い配線なので、設計通りに慎重に進めなければならないからだ。とくに2回路の前後入れ替えスイッチの配線はジックリ慎重に進めた。



集中して作業を行っていたのだが、なかなかその集中力は途切れなかった。やがて夜になり、19時過ぎにようやく最後のビス止めが終って完成した。やり遂げた充実感がある!しか〜し!問題はサウンドである!音が出なければ話にならない。ここまで複雑な配線をやると、ほとんどの場合一度で音が出る事は無いが・・・ではアンプに繋いでみよう!



あら?あららら?音が出ない!なんで?なんで?おおお〜〜〜そうかそうか!電源切り替えのスイッチはセンターがOFFになるのを忘れていたぞ!スイッチを9v側にしてみたところ・・・ふっふっふ・・・禅駆動サウンドが飛出してきた!これは左側の回路なので、次は右側の回路チェックだ!ところが!!!!!なんぢゃこりゃ〜〜〜!!!と思える濁った汚いサウンドが飛出してきた!なぜだ?左右同じ回路ではないのか?

裏蓋を開けて回路チェックをしてみると、ほんのわずかに回路の一部がショートしているか所を見つけた。再度ハンダ付けをやり直して修正完了!サウンドチェックしてみると今度は問題なし!これで回路関係は完璧である!では、両回路を同時に鳴らしてみよう!うふふふふ・・・気持よくぶっといサウンドが飛出してきた!中音域がかなり豊かに感じる。ふくよかと言った感じだ!

やはりアルミ削りだしのずっしり重いケースによるサウンドの変化はあった!帯域が広がり過不足なく出ている感じだ。非常に心地よい。これは良いぞ!てなことで、すぐにいつもの通り是永邸へ持ち込みサウンドチェックだ!車を飛ばした!



結果から言おう!是永氏も大満足の結果なのである! 9v・18Vの切り替えもちゃんとサウンドの変化が認識できた。面白い!是永氏が弾いているのを聞いていると確かにふくよかなサウンドに聞こえる。是永氏は弾き始めてすぐに「おっ!ダ●ブ●みたいだ!」とつぶやいた。次に「上から下まで全部出てる!」ともつぶやいていた。これこそ狙っていた部分ではないか!

てなことで、アルミ削りだしケースの効果が確認できたので、今回造り上げた「禅駆動 SUPREME LIMITED」の1号機はさっそく是永氏へ差し上げる事にした。これから先は私とS氏の分を2台完成させればこのプロジェクトは完了となる!いずれサンプルサウンドも掲載できるだろう!

近いうちに当家の防音室が完成するので、この「禅駆動 SUPREME LIMITED」が気になる方々は是非、試奏に来ていただきたい!


本日の結論
アルミ削りだしのケースはかなり高額である!

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