「持っていた事がある」 そのメールは突然やって来た。登録会員からのものだった。私が収集しているギターのうち、YAMAHA SG-175Bを譲ってほしいとの内容だった。以前にもそのような申し出でが他の方からもあったのだが、交渉する直前に地元のショップで売りに出ているのを発見して手に入れられたようだった。
今回のケースは「YAMAHA SGマニアで収集しています。SG-175Bが揃えば目的が達成できます。是非譲っていただきたい!」との申し出でだった。このギターのオリジナルはサンタナが使った事で有名である。この画像は1996年になり限定注文生産で一般向けに発売されたレプリカギターだ。世界中に77本しか存在しない。シリアルナンバー01と02はサンタナにプレゼントされたと言う。つまり販売されたのは75本だけなのだ。みごとなブッダの貝インレイも美しく、そのほとんどは購入者が仕舞い込んでいるはずだ。
今回は登録会員からの申し出でである。聞き入れにくい申し出ででは有るが、無視するわけにはいかない。私にとって登録会員は家族同然なのだ!(うそつけ!)
私もサンタナ好きなのでずっとYAMAHA SG-175Bを探していたのだが世の中に流通しているケースはとても稀で、まず新品状態のこのギターに出会う事はない。ところが私は、六弦倉庫に掲載しているように、偶然の切っ掛けからSG収集家に出会い、交渉し新品状態のモノを手に入れる事が出来たのだった。手に入れた後は傷つける事が怖くてたまにケースを開いニヤリとほくそ笑んだり、知人が来ると見せびらかしたりしていた。つまりギターであるにもかかわらず演奏する事は無かったのである。そして数年の時が過ぎ今回のメールが届いたのであった。
さてどうする?ここで私が手放せばもう二度と手に入れる事が出来ないギターである。では、私はこのギターを弾く事が有るのか?それはこれから先も無いと断言できる。どういうわけか、このギターだけはもったいなくて弾けやしないのだ。ううむ・・・どうしよう?では私は裕福なギター収集家なのか?それもどうも違うと思う。現在、休職中で収入は激減しているのだ。
YAMAHA SG175Bは、弾かれなくてこのまま私の手元で朽ち果てて行くギターになってしまうんか?それももったいないではないか!どうせならマニアの手元で幸せな余生を過ごさせてやるのも一理ではないのか?ううむ・・・しかしなあ・・・二度と手に入らないと思えば譲るのもなんだか悔しいしなあ・・・。
などと悩む事10分だった(早すぎるぞ〜!)私は思い切って譲渡する事を決心したのである。もちろん私が手に入れた価格以下で譲る気はないが、やがて登録会員から価格の提示が有り、私もその価格に納得した。てな事で相手も早く欲しいだろうと、本日夕方にYAMAHA SG-175Bはヤマト便で発送完了した。
かつて「このギターを他人に譲るなんてもったいない!」と言うギターマニアの方もいらっしゃったが、発送後は、なんだか気分がさっぱりしているのはなぜだろう?所有欲を満たしていた時間が私を癒していたのだろうか?それともこのギターを「持っていた事がある」という事実だけが私には必要だったのだろうか?
新オーナーの方は、是非ちゃんと弾いてギター本来の使い方をしてくださいませ!![]()
本日の結論
休職して療養していなかったら譲る気が起こらなかったかもなあ!------------------------------
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