六弦的変身話

2005年11月09日 遂にやって来たぞ・・・!


DTMこいつがどのように変身したのか?

「期待されていた方々には残念だったが

本日は、一部の六弦好きの方々には非常に気になっていた事態の結論である!

略称DTMと呼ばれるギターがある。McNaught(マクノート)と呼ばれることも多いギターだ。アメリカのギター職人、デビッド・トーマス・マクノートが助手と2名で造り上げている名器である。生産数が少ないことと高額であることからあまり世の中には出回っていない。日本のショップでは100万円前後の値段が付けられている高級ギターだ。ほぼカスタムオーダーのみの生産である。

何故それほどまでに高額なのか?音が素晴らしいこともあるが、彼等の木工精度が素晴らしいのだ。スルーセットネックと呼ばれる独特のネック設置法で、ロングサスティーンを生み出している。さらに使われているTOP材の美しさにも定評がある。ダイヤモンドキルトとよばれるAAAAAクラスのTOP材が使われているケースも多いのだ。

あれは2005年4月の出来事だった。ヤフーオークションを眺めていたら、そこにMcNaught(マクノート)が出品されているのを私は発見した。1円スタートである。上の画像のギターであった。このギターが1円で落札されるはずも無いが、そのギターのTOP材の美しさとネックがローズネックであった為に、一気に私は注目したのであった。出品者はM氏。評価を観ると信用出来そうな人物であった。

以前にも、この落札のいきさつは書いたのだが、思わぬ展開により思っていたより安い価格で私が落札するはめになった。大喜びである!落札後20時間でそのMcNaught(マクノート)は当家に届けられた。確かに精密な木工と仕上げの精度で美しいギターであった。で・・・数日間弾いているうちに変なことに気付いた。

そのギターの3弦6フレットの音の伸びが異常に少ないのである。いわゆるサスティーン不足なのだ。計測してみると3秒以下。これは私にとって実用出来ないほどのサスティーン不足であると感じてしまったのだ。その前後のフレットもやや不足気味だった。スルーセットネックなのに何故だ?デッドポイントか?

色々検証を始めて見るとヘッドに錘りを付けるとサスティーンが回復することが分かった。つまりヘッドとボディーの重量バランスが問題なのだろう。それでデッドスポットが生まれたと。かといって錘りを付けたまま使うにはかっこう悪すぎる。そこで、元の持ち主のM氏へ相談してみた。

M氏はこころよく、私の申し出でに反応され、後日当家にて検証することになった。やはりサスティーン不足はM氏の耳にも感じられたようで、あっさり非を認め「なんとかしましょう!」との申し出でがあったのだ。そしてM氏の信頼するプロショップに預けることとなった。1週間後私もそのショップへ足を運んだ。結果として分かったのは、調整で済むような話ではなく、根本的な構造の問題だろうという結論だった。さあどうする!

そこでM氏からの提案があった。「McNaught(マクノート)に送って確認してもらいましょう!直せるもんなら直してみてよとね!」相手もそうしてくれと言っていると言う。M氏はMcNaught(マクノート)の現地ディーラーとも仲が良いのだ。すぐにギターのアメリカへの発送はM氏によってなされた。数日後McNaught(マクノート)から連絡があり「確かにサスティーン不足である。材の組み合わせの問題で起きたようだ。修理は出来ないので、申し訳ないが新しいものを造って送りたい。好きな仕様を言ってもらえればそれを造りましょう!」との実に面白い展開となったのであった。オークションで中古品を買ったはずなのに、いつの間にか私がオリジナルでMcNaught(マクノート)新品をカスタムオーダー出来ることになっちまったのだ!悪運が強い私なのだろうか?

2005年7月20日私はM氏を経由しギターの仕様書を送ったのだが、返却したギターとは全く違うタイプを発注してしまった。M氏からの連絡によると60日〜90日後に完成するはずであるという。10月20日頃までには完成する予定である。私はじっくりと待ちの体制に入った。だが・・・だが・・・10月末に真新しいMcNaught(マクノート)が私宛に届くことなかった・・・。相手はアメリカだからなあ・・・そのあたりは余裕を観ておかないとダメだよなあ・・・。なんてなことを思い始めた11月3日になり突然「11月2日にMcNaught(マクノート)がアメリカから発送されました!」とM氏よりメールが届いた。おおお〜〜〜待っていたぞ!その連絡!

通関等を考えるとMcNaughtが私に届くのは1週間後だろうか?と予測していた11月8日夕方のことだった。私が帰宅するとちょうどその時、玄関先に大きな段ボール箱を持ったヤマト便のいつものおじさんが立っていた。アメリカから直接当家に送られて来たものではなく、一度M氏のもとへ送られそこで輸送による損傷が無いか検品が行われた後、再度ヤマト便で当家に届けられたのだ。丁寧なM氏の対応である。

二重の分厚いダンボールを開くとパッキンの新聞紙に包まれたギターケースが出てきた。新聞紙はさすがにニューヨークタイムス(2005年4月付)であったのがアメリカ製であることを匂わせていた。ギターケースを開くと・・・ふっふっふ・・・そこには間違いなく私が仕様書で発注したMcNaughtが収まっていたのである!保証書の完成日付けは2005年11月1日となっていた。

シェイプはダブルカッタウエイ、ネックはローズ、指板はエボニー、ポジションマークはアバロンのオフセンター、フレットはステンレス、TOPはダイヤモンドキルトメイプル、バックはマホガニー、コントロールキャビティーの裏蓋もマホガニーである。そしてカラーはタイガーアイ。カスタムオーダーと言えば「タイガーアイ」が定番だろう!ボディーはホローになっている。トーンノブプルでシングルサウンドも出せる。金属パーツは全てゴールド。実に大人びたしっとりとしたカラーリングである。贅沢な仕様だ。






M氏からのメールによると
「それではゆっくりとお楽しみ下さい。
 出来から言って、日本にあるVintage Double Cutの中では
 一番素晴らしいギターでは無いかと思います」

受け取ったのが平日の夜だったのでたいした音は出せなかったが、弾いてみると生鳴りが素晴らしい!アンプを通さなくても楽しめるほどなのだ。とても弾きやすいセッティングがしてある。また、キャパシターのチェックを行ってみたところ、相変わらずいつもの小さな安いキャパシター(コンデンサ)が使われていたので、週末になればすぐに取り替えるつもりだ。しばらくはこのまま弾き倒して楽しもうかね!てなことで「tanabe.tvにありがちな悲惨な結果」を期待されていた方々には残念だったが、私は大満足しているのである!うっほほ〜〜〜い!



本日の結論
遊びに来ていただければいつでも試奏できますよ!

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