六弦的魔力資

2005年03月01日 そして、刑事課知能犯係!


この幻を追い続け29年目。

意味を理解する刑事がいた」

2002年冬、11月22日にその悪夢は始まった。押し寄せる「嘘」と「反故」の嵐!あの日、Martin D-45をWEBオークションで落札した瞬間から、倉庫 番(くらこ つがい)はオークションの裏で蠢く深い闇に巻き込まれ、苦悩が始まった。以来、納品されることなく、返金されることなく日々は過ぎて行った。自ら招いた災いであると後悔の日々が続いた。やがて状況の裏側が見え始めた時、倉庫 番は戦い抜く意志を持ち始めたのだった・・・。これは、平成不況から脱しようともがく日本経済の逆風の中、果敢に謎に立ち向かっていった男の、足掛け4年目に突入した、今日も続くドラマである!


♪〜〜〜風の中のす〜ばる〜〜〜〜〜〜♪


私家版

プロジェクト
HEX(ヘックス)
「D-45を追え!資料編」

ID「love」の「評価欄」は今日も混迷を極めていた。返金、納品の要求で溢れていた。倉庫 番(くらこつがい)は、出品者に対し2005年2月25日15時の返金期限を通告していた。同時に出品者の自宅玄関前の画像を送りつけていた。すぐに出品者からレスポンスがあると思っていたが、2月19日以降はメールが届く事は無くまったく無反応だった。「love」の出品数は激減して行った。評価欄を観察していると、まだ落札者へなんらかの対応をしている気配があったが・・・。倉庫 番の被害はいまさら回復出来ないかも知れないが、これ以上新しい被害者を増やすわけには行かない。倉庫 番は、長い沈黙を破り動き出す事にした。

2005年2月22日夜。倉庫 番は岡▲県警サイバーパトロールのWEBから通報した。WEBでの通報は精神的にも楽だった。じっくり考えつつここまでに至る概要を記入した。この時点ですでに、何人もこの出品者に対する通報が同署に送られているはずだった。下地は出来ている。理解してもらえるのは早いだろう。倉庫 番は送信ボタンをクリックした・・・。果たして、岡▲県警はどのように動き出すのか?

2005年2月23日
倉庫 番はこの日前立腺癌のエコー検査の為、一日休暇をとっていた。父親が13年前に前立腺癌で亡くなっていたため、遺伝体質ではないかと恐れていたのだった。年齢的にもそろそろチェックした方が良い時期になっていた。さらにこのところ腰や股間に鈍い痛みがあり、半月程続いていたのだ。合わせて1週間前に行った血液検査の結果も聞く事になっていた・・・。

同日、朝7時30分。突然妻が電話の子機を持って倉庫 番のベッドサイドに来た。

「こ●まさんって方から電話よ!」


「こ●まさん?・・・」

いきなり叩き起こされたので、頭が回らなかった。ボ〜ッとしたまま受話器を受け取った瞬間、倉庫 番は思い出した!今までやり取りしていたほかの被害者から聞いていた「岡▲県警の担当者」の名前だったのだ。

「岡▲県警のこ●まと申します。倉庫さんですね?通報ありがとうございました。
 電話でお話をお伺いしたいのですがよろしいですか?」

「はい!何でも答えますよ!」

倉庫 番は事件発生から現在に至る概要を述べた。かなり長い時間を掛けてじっくりと説明した。だが、警察としては倉庫 番の話しを鵜呑みには出来ない。そんな詐偽事実が無いのに勝手に通報してる可能性もあるのだ。あくまでも証拠が無ければ警察は動かないし、動けないのだ。 こ●ま刑事としても、電話の先にいる倉庫 番をこの時点でまだ信用はしていないのだった。単なる「通報者」でしかない。そこで倉庫 番はこう伝えた。

「私の知り合いが何人か、やはり同じ出品者に被害にあって
 岡▲県警サイバーパトロールのこ●まさんへ御連絡入れたはずです。
 一人はHさんです。彼にはすでに返金されたと報告を受けましたが、
 まだほかにも通報して解決していない被害者はいるでしょう?

 当方の事件発生から現在に至る進捗状況は、すべて私のWEBに記録してあります。
 みなさんが読みやすいように文章が「読み物風」になっていますが、
 そこで起こっている出品者とのやり取りはすべて事実です。御参考にして下さい!
 URLは昨日お送りした通報のなかに書いてあります 」

「えっ!Hさんを御存じでしたか?そうですか・・・分りました。間違いないようですね。
 しかしこちらとしても申し訳ないのですが、
 倉庫さんに捜査状況を教えるわけにはいきませんから・・・まずは早急に、神奈川県警へ被害届を出して下さい。
 倉庫さんの
WEBの記録を読みまして、 こちらから神奈川県警に連絡を入れておきます!」

倉庫 番はこ●ま刑事とのやり取りで理解した事があった。取りあえず自分自身の「被害の回復」についてはいったん諦めてみる。まずは、摘発し逮捕させ徹底的に出品者を絞め上げるべきだ。と・・・。その日、病院へ向かった倉庫番は検査を受けた後、全てが問題ないと医師から伝えられた。血液検査の結果もかなり順調に回復していた。こちらはこれで一安心だ。

夕方になり、被害届を出すために資料を作り始めた。膨大な数のメールがあったが、それをすべてプリントアウトは出来ない。重要なポイントのメールだけプリントアウトした。さらに、警察に手早く説明するため事件発生から現在に至る経緯の概要をまとめた。もちろん、オークション落札時の証拠画面はその時からプリントアウトして用意していたのだった。

2004年2月24日

倉庫 番(くらこつがい)はさらに資料を作り続け「六弦的魔力戦シリーズ」をすべてCD-Rに焼いた。被害届の添付資料として警察に提出するためだった。さらに「内容証明郵便」の文面を考え始めた。すでに以前に一度作っていたものがあったのだが、再度見直しを行い「内容証明郵便」の規定文字数のチェックを行った。横書きでは、26文字20行で520文字以内に納めなければならなかった。微調整を行い、作業は完了した。3部プリントアウトし、印を押した・・・。これで現在出来る資料はすべて出来上がった・・・。

その夜、深夜になりCD-Rに張り付けるラベルを作成している時だった。倉庫 番の自宅に登録会員でもあるプロギタリストのK氏が訪問して来た。近所にギターのメンテナンスを頼んでいたので、メンテが終了したギターを引き取りつつ立ち寄ったのだった。K氏は、倉庫 番の部屋に入るとすぐさまMacの画面を眺め「いよいよ、追い込みですね!あんな奴を放置してちゃいかんですよ!」と吠えたのだった・・・。
外にはみぞれが降り続けていた。やがて雪に変わり窓の外は一面が白くなっていった・・・。

2004年2月25日

倉庫 番が出品者に対し通告していた期限の日がやって来た。この日の15時が期限だったが、それは守られることはないと倉庫 番は考えていた。朝起きるとすぐに資料を抱えて「神▲川県警 高★署」へ向かった。今までは免許の更新にしか来た事が無かった。高★署は古いビルだった。受付が存在しないので、入り口付近にいた人物に「被害届を提出したいのだが」と聞き2階にある「刑事課知能犯係」へ向かった。

狭い暗い階段だった。至る所の壁材が剥がれている。「湾岸署」とは雲泥の差だ。陰うつな空気が満ちていた・・・。

狭い入り口から刑事課に足を踏み入れた。どこにも「知能犯係」の表示は無い。相談窓口があるわけでも無さそうだ。どこに向かえば良いのだ?ここでもまた目の前にいた警察官に声を掛け「オークション詐偽の被害届を出したい」と伝えた。すると、刑事課の入り口前にある待ち合い用ソファーで待つように指示された。

まもなく、一人のジャンパー姿の刑事がやって来た。他の刑事との会話から「刑事課知能犯係」の係長のようだった。年齢は40才前後に見えた。もっと若いのかも知れないが・・・。T刑事は「奥がごたごたしているので申し訳ありませんが、ここで話しを聞かせて下さい!」と切り出した。ううむ・・・廊下の待ち合い用ソファーで事情聴取か・・・。これはこれで面白い展開だと倉庫 番は思った。

T刑事はいきなり核心の質問から始めた。

「ヤ●ーオークションの詐偽ですね?お金が届かないのでしょうか?それとも商品が届かないのでしょうか?」


刑事は、私に聞く前から「ヤ●ーオークション」であると決めつけていた。そして、その読みは正しかった。倉庫 番は、持参した資料を元にこれまでに何があったのか細かい説明を開始した。刑事の質問に的確に答えつつ、自分で見つけた状況証拠について報告を行った。最後に、CD-Rに焼きつけた「六弦的魔力戦」も引き渡した。

説明が終わった時、突然T刑事はこう言い始めた・・・。

「Martin D-45ですか・・・いま、定価は幾らするんですか?」

「105万円になっていますよ。資料のここに書いてありますが・・・」

「高いですねえ〜。このD-45のヘッドにはマーチンのロゴが縦に入っているんですよね!」

「そうですよ!御存じなんですか?」

「私も若いころ、Martin D-45に憧れていて、とても欲しかったんですよ。
 でもお金が無いので、私はモ●リスにしちゃいましたが・・・」

「そうでしたか〜!ギター好きは若いころみんな同じようなもんですよ(笑)
 私も50才になったお祝にMartin D-45を買おうと思ったんですがね、こんな事になってしまって、
 この悔しさは分かっていただけますよね?」


「理解できますよ!それでは、これから先はいただいた資料を読んで、
 WEBのデータも読ませていただいた後に、被害届を当方で作ります。
 出来上がりましたら御連絡差し上げますので、もう一度おいで下さい!
 それから、内容証明は早めに送って下さいね!
 すぐに、この人物の銀行口座凍結の手配も行いましょう!」

 

「了解しました!それでは御連絡をお待ちします。ありがとうございました!」

Martin D-45の意味を理解する担当刑事がいた・・・。倉庫 番は奇跡だと思った・・・。その事実を知っただけで倉庫 番は心が豊かになった気がした。岡▲県警も高★署も担当刑事の対応は感動する程丁寧であり分りやすかった。さらにT刑事は言った。

「ヤ●ーオークションの詐偽事件が急激に増えています。
 保険の手続きの為に被害届が必要なので、このところ処理件数が増えてしまい、
 対処するのにどうしても時間がかかってしまうんですが、
 なるべく急いで処理しますので御連絡差し上げるまでお待ち下さい!」

「大丈夫ですよ!私は2年7か月も待っているのですから、
 もう慌てる事はありません。じっくりお待ちしていますよ・・・」

やがて、運命の期限である2月25日15時が来た。倉庫 番は出品者に伝えていた銀行口座をWEBでチェックした。出品者から振り込まれるはずの金額は1円も存在しなかった。限界・・・。倉庫 番はゆっくり立ち上がり・・・東京高等地方簡易裁判所合同庁舎へ向い歩き出した・・・。


*このストーリーは、現実をモチーフにしたフィクションであり、
 登場した個人名、団体名、地名、商品名等は架空のモノです。
 ひょっとして実在するかも知れませんが・・・!(なんだよそれ?)



本日の結論
国家権力は今後どう対処するのか・・・。

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