六弦的魔力別

2004年10月20日 別IDの動きを観察し続けた!


この幻を追い続け28年目。

「出品者はまだしぶとくそこに居た」

2002年冬、11月22日に悪夢は始まった。押し寄せる「嘘」と「反故」の嵐!あの日、Martin D-45をWEBオークションで落札した瞬間から、倉庫 番(くらこ つがい)はオークションの裏で蠢く深い闇に巻き込まれ、苦悩が始まった。納品されることなく、返金されることなく日々は過ぎて行った。自ら招いた災いであると後悔の日々が続いた。やがて状況の裏側が見え始めた時、倉庫 番は戦い抜く意志を持ち始めたのだった・・・。これは、平成不況から脱しようともがく日本経済の逆風の中、果敢に謎に立ち向かっていった男の、足掛け3年を経過し、今も続くドラマの今日である!

(この六弦的魔力戦シリーズを御存じない方々の為に、今回は過去に掲載した全てを曝すことにした!)

♪〜〜〜風の中のす〜ばる〜〜〜〜〜〜♪


私家版

プロジェクト
HEX(ヘックス)
「D-45を追え!別枠編」

6月18日に届いていた一部返金額は3万円だった。
出品者とのその後のメールのやり取りで倉庫 番は「利息」として受け取ることにした。つまりオークション落札時に振り込んだ金額は、そのまま出品者の残債務としてまだ残っていると言う意味だ。出品者もそれを承認した・・・。では、次ぎの返金はいつになるのか? 3万円を利息として返金するのに1年半以上かかった出品者なのだ。そう簡単に事が進むとは思えない。倉庫 番は腹を括っていた。


だがその後、メールのやり取りは急激に少なくなって行った。倉庫 番はショップの店長とも話してみたが、出品者の動向はほとんどつかめなかった。だが、それはそれで面白いことになる。店長が苛立てば、D-45を他の客に売却する可能性がある。むしろその方が今後の動きとして面白くなる!倉庫 番はあえてそれ以降店長との連絡を断ってみた・・・。
だがそれ以来、倉庫 番に現金が届けられることは無かった。督促メールを出してみた。

2004年8月5日メールが返って来た。

「おはようございます 毎週 火曜日に 送金させていただきます
 最低限 これは 守ります 金額は 常識で 考えて 一回 30000円 以上で 送ります
 途中 解決 一度に 出来ましたら もちろん 送金します 何とか 早期に 終わりたいので」


倉庫 番は笑っていた。予想されたメール内容だったのだ。だが、それがこれから先実行されることも無く時が過ぎて行くのも予測していた。それはそれでまた新たな展開が起こるとの予兆でもあった。出品者は次に何を行おうとしているのか?一向に改善されない状況に、さらにメールで攻撃してみた。

2004年8月24日のメール。

「おはようございます 元気出して 頑張ります
 本日 送金できないかも 分かりませんが 今週から 送金します」


2004年9月3日のメール。

「おはようございます 今日 送金します」

そして、再び連絡が途絶えた。

そのころ、WEBオークションでは別の怪し気な動きが見え始めていた・・・。

倉庫 番はWEBオークションの中に変な出品者Xを見つけた。出品リストを観ると、2日間の出品に20点以上の出品物が並んでいた。出品物はPC関連商品とギターがほとんど。そして、それぞれの出品ページに加えられた説明文を読んで驚いた!アノ「ぶつ切れ文体」だったのだ。特徴ある文体だった。まさに、あの出品者が過去に行っていたオークションのパターンと同じだった。

これだけでは決め手に欠ける。 次にオークションの出品形態の特徴を観た。ほとんどが1000円スタートとなっていた。これまたアイツの得意手だった。かつてはほとんどの出品物が1円スタートになっていた。スタート価格をいちいち考えて設定するのが面倒なのだろうか。しかも2日〜3日の短い出品期間も特徴的だ。

さらに、評価欄を観察した。やはり・・・評価のリストを全部読んでみると、当初の10点程は出品者ではなく落札者になっていた。しかも1000円程度のジャンク品ばかり落札していた。まず得意分野の安い品を大量に落札して評価の数字を2桁までもっていく。他人が安心する評価数まで上がったところで出品を開始する作戦だろう。

さらに当初落札した品々を再び出品してしまえば金も戻ってくる計算となる。これは堂々とまたオークションの舞台へと戻って来たことになる。 出品者Xの特徴はまだまだあった。目の前にあるこの出品者XのIDは、前に使っていたIDと共通点があった。それは「音楽」がキーワードとなっていた。入札者からの問い合わせに発送は「広島」からだと答えていた。自己紹介にも広島からと書いてあるのだが、アイツは隣の県在住だ。引っ越したのか?

広島に協力者が存在すると考えればどうだろうか?親戚か?それとも仲間か? それとも・・・意識して出品地の嘘を付いたのか?このように、充分注意をしてオークションに出品しているにも拘わらず、もう一つ致命的なボロが出ていた。「お里が知れる」と言うべきか?それは何か?

出品者はかつて、落札者から「悪い評価」を受けると報復攻撃として、悪くない相手に対しても必ず「悪い評価」をつけ返していた。さらに悪い評価がつけられると「付けられたものと同じ評価で返す」と脅しをかけて「非常に良い評価」に書き直しをさせていた事実がある。 今回見つけた出品者Xの評価欄をじっくり観て行くと、まさにその手口が使われていた。

さらにそこに書かれた文体と単語が、倉庫 番の知っているアイツの文体そのものだったのだ!使う単語まで同じとは・・・。今の所、まだトラブルはほとんどなく取り引きは順調に進んでいるように見えていた。しばらく動きを見守り決定的な証拠が出てくれば、さらになんらかの対策を立てなければならなくなる。コイツはアイツなのか?かなり濃いグレー状態であった。

倉庫番の観察は続いた。

ある日、高額のギターが2本出品されていた。2本とも数日後に落札されたが・・・1週間経っても評価欄にそのギターの評価が出てこなかった。10日が過ぎたそれでも出てこなかった。そのうち又しても高額ギターが出品されていた。これはなんだ?前回と同じギターに見える。しかも前回は「自分が買ったのだが、勿体無くて使わなかったの新品状態だ」と説明文にあった物が、今回は「知人に頼まれての代理出品」と書かれていた。

そのギターの画像のバックは、まったく同じ場所。ある特徴的な物が写り込んでいた。その出品者Xがそれ以降も数本のギターを出品していたが、いずれもまったく同じ場所がバックだった。事務所の片隅にも見える。この出品者Xを同一人物と仮定し深読みすれば、2年前のあの出品パターンとまった同じことになる。

リサイクルショップや中古楽器店で安い出物を見つけて写真を取り、それを空売りする。店頭価格より高く落札されれば現物を買い取り、落札者に送る。金額が低ければ無視する。そんな手口だ。そこで落札をキャンセルされた落札者が「悪評」を付けようとすれば報復に出るパターンだ。観察を続けていると、結局今までに落札された高額ギターは倉庫 番が知っているだけでも3本存在したのだが、1か月過ぎて、いずれも納品された形跡は観られなかった・・・。

危ない綱渡りを、又しても始めたのか?その出品者Xの評価はすでに140を超えていた・・・。

倉庫 番は一通のメールを出品者宛に書いた。出品者XのIDを記しただけの短い文章だった。果たしてどのような反応を示すのか?

倉庫 番はこのところ、ギターの練習に明け暮れていた。さらに、新興ギターメーカーとのやり取りやその販売の応援で忙しい日々を送っていた。幾人ものギターの達人達とも交流が始まり、D-45事件の記憶が薄まりはじめていた。10月17日、倉庫 番宅に遊びに来たアコースティックギターの達人はこう言った。

「マー●ンのギターは80年代以降は・・・。マー●ン神話があるのは日本だけですよ。
 高いギターと安いギターの音の差なんてのはほんのわずかですし、
 今の■-45なんて、あの材であの価格なのは笑ってしまいますよ!
 パーフリングのアバロンが、今はラミネートだし!」


それから延々とウンチクが続いた。そしてその話しには裏づけとなるいくつものエピソードがあった。20本以上のマー●ンを保有し、プリウォーと呼ばれる初期ものも手にして来たが、日本のとある零細メーカーが作ったギターに出会ってその音に驚き、今まで持っていたマー●ンを全部売りとばしたと語っていた。そして、その零細メーカーが作ったギターの音を目の前で聞いた・・・倉庫 番には素直に納得できるサウンドだった・・・。

2004年10月18日。倉庫 番(くらこ つがい)は久々に出品者の携帯電話に連絡を入れてみた。「この電話は現在使われておりません・・・」そうか・・・再びこのようなことになっていたのか。自宅に電話してみた。呼び出し音は鳴っていた。広島に逃げたわけではなさそうだ。さらに、ショップの店長へも電話してみることにした。

倉庫「おひさしぶりです倉庫です」


店長「しばらく連絡が無いので、どうされたかなと思っていたんですが・・・」


倉庫「D-45はどうですか?もう売れてしまいましたか?」

店長「いえいえ、倉庫さんの連絡がないので売るわけにも行かず・・・
   アコースティックはナマモノなので気になってるんですよ 」

倉庫「ところでアイツは最近来てますか?」

店長「最近は週に3回くらい来てますよ!」

倉庫「えっ?週に3回?病気でふせっているって言ってたんですけどね」

店長「そうでしたか・・・ところでお金は戻って来てますか?」

倉庫「いえいえ!3万円送りつけて来てから以降なにも」

店長「うわ・・・どうなってんでしょうね?」

倉庫「D-45はもう他の方に売ってもらえませんか?
   ブツが無くなれば明らかに詐欺罪が成立しますから」

店長「いいですか〜?それじゃあ店頭に出しますよ!」

倉庫「今度あいつの顔を見たら、私がD-45を売るように言っていたと伝えて下さい!」

出品者はまだしぶとくそこに居た。この時点で、倉庫 番はD-45に対する思いが吹っ切れていた。マー●ン神話が倉庫 番の中ですでに崩壊していたのだ。D-45そのものがショップから消えてしまえば、足枷は無くなる。再び出品者を戦いの場に引きずり出してやる・・・。そして早くも反応があった。

2004年10月18日に出品者から届いた届いたメールは・・・。

「パソコンの 不備で メールが 見れませんでした
 返信遅れまして 申し訳ありません 何とか 目処も 立ちまして 
 送金も できる 状況に なります
 いつまでも 御迷惑を おかけし続けるのも 限界も ありますし
 最後まで 対応 しますので どうか お許しください
 送金後 メール 差し上げます」


*このストーリーは、現実をモチーフにしたフィクションであり、
 登場した個人名、団体名、地名、商品名等は架空のモノです。
 ひょっとして実在するかも知れませんが・・・!(なんだよそれ?)



本日の結論
パソコンの不備って?笑わせる・・・。

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