六弦的魔力任

2004年06月14日 店長が判断を下した!


この幻を追い続け28年目。

「一任しますよ!」

2002年冬、11月22日に悪夢は始まった。押し寄せる「嘘」と「反故」の嵐!あの日、Martin D-45をWEBオークションで落札した瞬間から、倉庫 番(くらこ つがい)はオークションの裏で蠢く深い闇に巻き込まれ、苦悩が始まった。自ら招いた災いであると後悔の日々が続いた。やがて状況の裏側が見え始めた時、倉庫 番は戦い抜く意志を持ち始めたのだった・・・。これは、平成不況から脱しようともがく日本経済の逆風の中、果 敢に謎に立ち向かっていった男の、足掛け3年を経過し、今も続くドラマの今日である!

♪〜〜〜風の中のす〜ばる〜〜〜〜〜〜♪


私家版

プロジェクト
HEX(ヘックス)
「D-45を追え!一任編」

2004年6月1日に出品者から届いたメールは、またしてもあやふやな期限が書かれていた。

「こんばんは 体調 崩しまして 苦労していますが
 それまでには 引き取りまして 発送できますので よろしく お願いします。
 その後 多分 医者に 行きます この件を 解決することだけを 考えて います」


出品者が言う「それまで」は、6月7日を指していると考えられた。これを信じる倉庫 番では無いが、再び出品者の動きを観察する気になっていた。とことん「嘘」に付き合って、その嘘を見抜きつつ出品者を徹底的に追い込む腹づもりだった。

その前に倉庫番にはやるべきことが一つあった。中途半端なショップの店長の精神状態を確固たるモノにしなければならない。店長の持つ出品者に対する情報はどの程度だろうか?店長にとっては出品者は頻繁に商品を買いに来たり、商品を売りに来たりしている「上得意」なのだ。たまに電話を掛けてくる「見知らぬ 倉庫 番」が伝える断片的な出品者の情報と「顔なじみの出品者」が伝える情報とどちらを信用するだろうか?

5月31日に店長と話した時点から、急激に店長の対応が変化していた。が、まだ彼自身にも迷いがあるようだった。ここで一気に倉庫 番側に向かせなければ、ここから先の戦いは上手く行かないだろう。電話で幾ら事情を伝えたところで、音声情報は通 過し消えていくだけだ。情報を定着させ、共有しておく必要があった。倉庫 番は落札時からの事実関係を文書にしFAXで送りつけることにした。

やがて倉庫 番が書き上げた内容は以下のようなものだった。2004年6月2日、倉庫 番はショップにFAXを送った。

● 自己紹介
● D-45事件の事の起こり
● 出品者がショップの商品を勝手に出品し続けていた事実
● あしかけ3年に渡る出品者の対応状況
● 昨年5月の警察の介入による出品者宅の家宅捜索の事実確認
● 出品者から送られて来たD-45の写真はどのような推移で撮影されたのか?
● 6月1日に届いた出品者からのメール内容

このFAXを読んで店長は何を考えるだろうか?警察による、出品者自宅の家宅捜索の話は店長に話してあると、出品者は1年前に倉庫番へ伝えて来た。だが、倉庫 番はそれを店長に確認していなかった。念のための書き込んだのだった。

2004年6月7日夕方ショップの閉店時刻直前。あのメールが正しければ、この時間にはすでにD-45は出品者に引き取られていなければならない。倉庫 番(くらこ つがい)は確認の為電話を店長に入れた。

「こんばんわ!倉庫です。どうも・・・。●●は連絡して来ましたか?」

「先週末に連絡がありましたよ!」

「そうですか・・・今日までに引き取ると言ってたんですがね〜!」

「●●さんは、今度は10日に発送すると言って来ましたよ!」

「こっちにはそんな連絡はこなかったですよ!また嘘ですかね・・・
 ところでFAX を送ったんですが読まれましたか?


「はい!ビックリしました!
 店頭の商品が写真に撮られて勝手に
オークションに出品されている噂は聞いていたんですが、
 まさか自分の店がターゲットにされていたなんて知りませんでしたよ!」

「やはりそうでしたか!警察が家宅捜索した件はどうです?
 ●●は店長に知らせてあると言っていましたが、」

「初耳ですよ!そんなことがあったんですか・・・」

「いやいや、それすら事実かどうかは分かりませんよ!
 ●●はとんでもない嘘つきなんですから!
 ところでD-45の写真はどうですか?店員の方が協力されたのでしょうか?」

「あれは倉庫さんから確認の為に頼まれたと言ってきたんで
 店員が撮影させたんです。こちらも知っています。
 オークションに出品した時の写真はどうだったんでしょうか? 」

「勝手に撮影したのは明確ですよ!店員に隠れて撮影したんでしょ!
 で、これからあのD-45はどうされますか?売るに売れないし、
 放ってはおけないでしょ?もう取り置きは中止しますよね?」

「ここから先のD-45の処分は●●さんに一任しますよ! 」

「そうですか・・・店長もお困りの様ですから、じゃあ、私が直接引き取りましょうか? 」

「大丈夫ですか?倉庫さんだって、お金の問題があるでしょう?
 まだ返してもらってないんだから・・・
 この件が片付いたら、●●さんとの取り引きは止めますよ! 」


「それじゃあもう少し待っていただけますか、
 こちらも対策を考えてまた御連絡しますから!それじゃ!」


この電話で、明らかに店長が倉庫 番側に立っているのが感じられた。店長はすでに出品者に対し、D-45を引き渡す気がまったく無くなっていたようだ。自分の店を舞台に詐欺事件を引き起こしていた相手なのだ。当然の判断だった。
倉庫 番は直後、出品者宛にメールを書いた。冷静な文章だった。だが、それは戦線布告でもあった。

「長期に渡り連絡も来ない以上、引き取る意志がないものと考え、
 これ以上取り置きをする必要はないとショップは判断しました。
 店長はこれ以降のD-45の処分について当方に一任されました。
 よって本日以後、あのD-45はオープン販売となります。

 店頭からD-45が消えれば詐欺罪が成立しますので、
 以前から申し上げていた通り、手順に従い法的手続きに入ります」


その30分後、帰宅途中に倉庫番は携帯電話へ伝言が入っているのに気付いた。勤務先のデスクからだった。

「先程、岡山の●●さんという方から電話がありました。
 倉庫さんの携帯電話の番号を知りたいと聞いて来たんですが、
 知らせずに、相手の携帯電話の番号を教えてもらいました。
 至急電話が欲しいと言ってましたよ!番号は・・・」


「ありがとう番号はいいです!その電話は無視してください!」

あのメールに反応し、出品者は早くも動きだしたとみえる。携帯電話も復活させたのか・・・。倉庫 番は出品者に対し電話を掛ける気は全く無かった。相手の焦りをそのまま持続させることが理由だ。出品者が倉庫 番の自宅に電話してくることはない。以前に倉庫 番が「自宅には電話をするな!」と強い抗議を行なっていたからだ。こちらから電話しなければ、必ずメールで連絡してくる。

帰宅してメールをチェックしてみると案の定、出品者から2通届いていた。まずは1通 目。

「こんばんは 先ほど 店長と 話しまして
 来週中に とりあえず 倉庫様よりの 送金額を 倉庫様まで 送金させていただきます
 店長も 其の方が 今後の 為に いいとの ことでしたので
 火曜日より 金曜日までに 全額 揃うように します。
 体調が 最悪ですので 何とか この件を 解決して 養生 したく 思います
 長々と 御迷惑を おかけしましたことを 心より お詫びします ●● 」


「とりあえず」とはどういう意味なのだろうか?その後に、詫び金を追加で払うと言うのか?あり得ない話だ・・・。さらにもう1通あった。倉庫番のメールを読んでから書いたものと思われた。

「前後しましたが 来週 送金させていただきます。
 電話は 気持ちを お伝えできたので 結構ですので
 送金は 書留にて させていただきます ●●」


相変わらずのメールだった。16か月前に来たメールと大した差は無かった。出品者は、店長からD-45の取り置き停止を通 告されたに違いない。倉庫 番が狙った通りの反応を示す出品者でしかない・・・。哀れだ・・・。全額揃ったと1か月前に伝えて来ていたのだが、またもや「来週そろえる」と書いている。まったく信用できない出品者の対応が今回もまた炸裂していた・・・。










*このストーリーは、現実をモチーフにしたフィクションであり、
 登場した個人名、団体名、地名、商品名等は架空のモノです。
 ひょっとして実在するかも知れませんが・・・!(なんだよそれ?)



本日の結論
D-45が店頭から消えるのが先か・・・それとも・・・。

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