六弦的魔力個

2004年03月07日 やがて見えてくる現実と困惑!


この幻を追い続け28年目。

「かすかな記憶の断片が浮かび上がって」

2002年冬、11月22日に悪夢は始まった。押し寄せる「嘘」と「反故」の嵐!巻き込まれた倉庫 番(くらこつがい)の苦悩。自ら招いた災いであると後悔の日々が続いた。やがて状況の裏側が見え始めた時、倉庫 番は戦い抜く意志を持ち始めたのだった・・・。これは、平成不況からやや息を吹き返そうと喘ぐ日本経済の逆風の中、果 敢にWEBオークションの謎に立ち向かっていった男の今日の姿である!

「もしかして、これは・・・」

目の前の画像によって、倉庫 番が今まで組み立ててきた出品者の動きの推理に狂いが生じはじめていた!これはどういうことだ・・・どういうことなんだ・・・。倉庫 番は記憶を遡りはじめた・・・。そして、かすかな記憶を確認するため過去のデータを洗いなおした。やがてそこに、驚愕の事実が浮かび上がってきたのだった! 倉庫 番はその瞬間、目眩にも似た感覚に揺さぶられていた・・・。


ずばり!出品者=店長ですね!

ポールリードスミスに対するトニースミス! マーチンD-45に対する・・・って事は無いですよね!

マーチンD-45の写真を撮るのに、ショーウィンドウ越しの絵じゃなかったのかな。


その日、傍観者達は全く違う方向性の想像を膨らませていた・・・。




♪〜〜〜風の中のす〜ばる〜〜〜(今回はユーロビートバージョン!←クリックすると音楽が!)〜〜〜♪


私家版

プロジェクト
HEX(ヘックス)
「D-45を追え!個体編」

2004年3月4日朝、出品者から送られてきた13枚の画像は確かに「Martin D-45」だった。画像を観察するにつれ、倉庫 番は目立つ傷も無さそうだと感じていた。弦高はそこそこありそうだが、マーチンは出荷時点ではかなり高めのセッティングなので問題はない。手に入れてから自分好みの高さまで下げれば良いのだ。ブリッジ下のTOPの膨らみも無さそうに見える。

 

だが・・・一つだけ気になることがあった。それはTOP材の木目だった。D-45クラスになると木材が厳選されていて、TOP材も美しいモノが多い。目の前の画像にあるD-45のTOPは木目のムラがかなりハッキリ見える。確かにブックマッチに製材されたのは明確に分かる材だが・・・。倉庫番は気になりはじめた・・・と同時に、脳裏にかすかな記憶の断片が浮かび上がってきた。「もしかして、これは・・・」

 

このD-45は、昨年2003年2月末に出品者によって、リサイクルショップに取り置きされた事実が店長の証言ですでに明らかになっていた。
だが、それ以前この木目を観たことがあると倉庫 番は気付いたのだ。急いで2002年11月20日の段階で出品者がオークションに出していたD-45の画像を探した。それはきちんとデータとして倉庫 番のMacの中に残されていた・・・。

オークション出品時の画像
2004年3月3日撮影画像
  
ギターは人工物だが素材は自然のモノだ。ギターの表面に現れる木目は、自然がつくり出した年輪と導管の綾なす模様だ。人の指紋と同様に同じものは世の中に二つ存在していない。この木目で個体が特定できるのだ。二つの画像をくらべてみた。精細な画像では無いが、明らかに同じ特徴を持った木目であるのが確認できる。雛形あきこ扮する鑑識官なら「符合しました!」と上司に報告する状況だった・・・。

さらに、オークション出品時のバックをじっくり観察すると、モノトーン処理にされているが、ギタースタンドを含めて環境が極めて似ている。この事実が物語るのは何か?色によってショップが特定されないようにした結果 だろう・・・。そうなるとオークション当初からこのD-45は、ショップに存在し続けていたことになる・・・。

全く倉庫 番が予想していない事態になっていた・・・。出品者は存在しないD-45をオークションに出品していたのではなかったのか!なぜだ?なぜこんな事になっているのだ?明らかにショップの取り置きは2003年2月末だと特定できているのだ!では、2002年11月20日から2003年2月末まで約100日間の「取り置きされなかった空白期間」は何を意味するのだろうか?

店長 = 出品者であれば、容易に可能な状況ではある。だが、それはあり得なかった。店長が不正を働けば店鋪そのものが危うくなる。チェーン店なのでそれはあり得なかった。さらに、倉庫 番が今まで電話で何度も話してきた結果 、明らかに二人の声は別人だった。倉庫 番は慌てて推理を組み立て直してみた。

2002年11月某日、現金が枯渇した出品者は手っ取り早く現金を手にするため、通い慣れたリサイクルショップに向かった。なるべく高額の商品を探すためだった。そこで見つけたのが
D-45だった。これならいくら安くてもオークションなら40万円以上にはなる。すぐにデジカメを取り出し店頭展示商品の撮影を行った。いつものオークション出品の手慣れた手順だった。

やがてオークションが終了し現金を手に入れた。それがどう使われたのかは分からないが、とにかく出品者の手許からは現金が消えた。早いうちに現金を回収して納品に対応しようとしていたが・・・。手配がつかなくなってしまい対応が遅れはじめた。やがて倉庫 番の厳しい追求が始まった。言い訳の連続。D-45を買い取ろうと焦るが一向に現金が集まらない。時間稼ぎの言い訳でついた嘘が嘘を呼び、泥沼へと踏み込んでしまった。

2003年になり、倉庫 番の追求がさらに激しくなってきた。取りあえず黙らせる手は無いのか?その時点でD-45はまだ売れずに残っていたため、2003年2月末正式に店長に対し「すぐに買い取りが出来ないが、とりあえず取り置きしてほしい!」を申し入れた。D-45は確かに存在すると店長に証言させるためだった。だが1年経っても引き取るだけの現金はなかなか集まってこなかった。そして・・・その後も嘘と言い訳の嵐が続き現在に至っていた。


 

 

 


だが・・・再構築した推理にはひとつの大きな疑問が残っていた。このやり方を実行するためには、リサイクルショップ店長の協力が必要ではないだろうか?店内で写真を撮影する行為は通常であれば咎められるはずだ・・・。撮影を頻繁に行っていたとすれば、余りにも不自然な行為ではないだろうか?それが店長に黙認されていたとすれば、どのようなケースが考えられるのか?店長と出品者のタッグマッチ・・・。

店長と出品者の利益は、このやり方で出品者が商品を毎回買い取ってくれる限り矛盾はしない。出品者が勝手にオークションに出し、落札されればされるほど店の営業努力とは無関係に商品が回転することになる。店の経営を預かる店長としては出品者を「頻繁に買い取ってくれる有り難い客」であると優遇せざるを得ない。その為に特例として店員一同が黙認していた・・・。

しかし、倉庫 番と電話で対応し続ける店長にそのような気配は感じられなかった。むしろ出品者との敵対を感じさせていた。なぜだ?さらに、出品者も倉庫 番が店長と連絡を取り合うことに対し、かなり拒否反応を示していた。彼等は仲間では無いのか?ここに新しい解釈を持ち込む必要がある・・・。発想の転換をしてみるべきだと倉庫 番は感じた・・・。そして、初期の頃に出品者が口走っていた店長に関する話を思い出していた。そうか・・・出品者の言訳だと聞き逃していたが・・・店長が2人存在していた可能性がある・・・。倉庫 番は再考し始めた・・・。

出品者がD-45をオークションに出した後で突然、店長の人事異動があり、新店長が配置された。そこに破綻の糸口がうまれた。以前の店長と出品者は裏の話が付いていたのだろうが、新店長は今までの出品者の事情を全く無視し、そう簡単にD-45を渡してはくれなかった。かたくなに全額支払えと要求し続けた。

この店でいままで作り上げてきた出品者の「顔」が全く通 用しなくなっていった。さらに、代金を1年に渡り払えないことで、出品者の信用はボロボロに失われて行った。そして、現時点ではもう店長と出品者は完全に敵対している関係に陥っている。そのように推測できないだろうか・・・。

一旦春の兆しを見せていた天候が、今週になり一気に冬の気温に戻っていた。その日、冷たい風が倉庫 番のコートの裾を揺らしていた。出品者は「詐欺師」なのか?それとも・・・。「正と負」あるいは「悪と善」の判断が乱れはじめた。思いがけない展開に揺れる倉庫 番(くらこつがい)の心の奥に、尾藤イサオの歌声が流れていた。♪〜明日はどっちだ〜〜〜♪

荘子は蝶になった夢を見た。
そして目覚めたとき、蝶の夢からさめた 自分なのか、
荘子になった夢を見ている蝶なのかがわからなくなった・・・。










*このストーリーは、現実をモチーフにしたフィクションであり、
 登場した個人名、団体名、地名、商品名等は架空のモノです。
 ひょっとして実在するかも知れませんが・・・!(なんだよそれ?)



本日の結論
モノが存在することは確認できたが、はたして・・・?

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