六弦的魔力惰

2003年11月13日 そして、惰性になる!


この幻を追い続け28年目。

「それがお前の償えるたった一つの方法だ!」

「D-45事件」はさらに「惰性編」へと突き進む!

永遠と思われる流れの果てにあるものは何だろうか・・・。20002年11月22日がその悪夢の始まりだった。闘争心と欺瞞のぶつかり合い・・・繰り返される呪文のごとき「言い訳」・・・だが・・・今日も惰性のごとく蠢き続ける男達がいる!

21世紀初頭、D-45を追い続けWEBの奥に潜む「邪悪」と戦い続ける男の、これが11か月以上に及んでいる邪推ドラマの今日である。

♪〜〜〜風の中のす〜ばる〜〜〜(まだ終われないのか・・・)〜〜〜♪

私家版

プロジェクト
HEX(ヘックス)
「D-45を追え!惰性編」

10月21日が来た。落札後、丸11か月目の夜、倉庫 番はしばらくぶりにショップの店長に電話を入れてみた。確認したい事があったわけではなかった。店長と連絡を取り合っている事実を残すことだけが必要だった。

「こんにちわ!倉庫です。その後●●さんは来てます?」


「今日も来られてましたよ。今日は液晶モニターを数台持ち込まれていましたが・・・」

「そうですか・・・●●さんはいつ頃、払い終わるんですかね?」

「さあ・・・現金をある程度持っているようなのでね・・・。
 一昨日来られた時には、あと5万円だと言っていましたが・・・」


「ホントですかねえ〜もうすっかり待つもの飽きちゃいましたけど!」

やはりその会話の内容に大した意味はなかった。たんなる挨拶程度のやり取りにしか過ぎなかった。しかし、倉庫 番が電話した事実は、また店長の口から出品者へと伝えられるだろう。それだけが目的だった・・・。

出品者は、リサイクルショップに引き取ってもらう商品を、これほど頻繁に一体どこから仕入れて来ているのだろうか?倉庫 番が持つその疑問は今日もまだ消えていなかった。商品を仕入れる為には金銭を必要とする。さらに仕入れたものを引き取ってもらう行為を繰り返したところで、リサイクルショップでは安価でしか引き取らない。大した現金は手元に残らない。出品者がそれを延々繰り返しているいる事実は、何を意味しているのだろうか?

仮に出品者がいずれ支払をすると約束をし、売り飛ばす商品を預かって来るのだとしたら・・・だが、その商品達はD-45の代金として消えて行くのだ。決して現金を産み出す事は無い。とすれば、出品者は何を狙っているのだろうか?

仕入れた商品をわざわざリサイクルショップに持ち込む為には、引きとられる金額より低い価格で仕入れてこなければ意味が無い。例えば定価10万円の液晶モニターは新しくても1万円程度でしか引き取られないはずだ。そうなると、出品者は一体いくらで仕入れて来ているのだろうか?5000円か?

さらに考えてみよう。本人がバッタ屋のルートを持っていた場合はどうだろうか?倒産しかかっている電器屋の倉庫から、トラックで買い付けて来るケースだ。その場合は現金で買い叩くので、とてつもない低価格で引き取れるケースがあるようだ。だが・・・そうなると多額の現金が必要となる。それほどの現金が在るのであれば、これほどまでに長期化するはずも無い。

過去に、この出品者が返金処理していたパターンとして、2〜3日おきに、5千円〜8千円程度の金額でちびちび数週間に渡り送り続けたケースがある。かつてオークションの評価欄で、その実体が暴露されていたのだ。そんな金策方法しか出来ない出品者に現金を大量に必要とするバッタ屋ルートはとても無理だと倉庫 番は判断した。やはり謎は残ったままだった・・・。

10月23日朝、出品者から案の定メールが届いた。ショップ店長が何か連絡したのか・・・。

「おはようございます。後50000円です。本当に申し訳ありませんでした。
  相当無理をして対応していますが、今月はどうしても解決します」

メールの金額は店長の話とリンクしていた。だが・・・微妙に食い違っている点に、倉庫 番は気付いた。出品者は店長に数日前「あと5万円」と話していたと言う。だが、その後に液晶モニターを数台ショップ持ち込んでいたはずである。そうなると、当然5万円からその分が引かれなくてはならない。4万円か?あるいは3万円か?その程度は分からないが、店長の情報が正しければ明らかに、残債は5万円以下で無くてはならない。またしても嘘八百の世界へ突入したのか?いずれにせよ、今月中に解決するはずは無い。

さらに、気になるのが「相当無理をして対応していますが」の一文であった。無理をするとはどういう事だろうか?金策の手立てとして「無茶な金策」をしていると言いたいのか?それとも、生活を切り詰めて「無理な生活を家族に強いている」とでも言いたいのか?フザケタ言い種だと倉庫 番は感じていた。

詐欺事件は容疑者が「犯意」を認めなければ立件が難しい。出品者が「必ず納品する!」と言い続ければ警察も追求し切れない。「犯罪は、犯罪として立証されなければ犯罪では無い」との悪辣な考え方も在る。だが、そんな法的解釈や論理とは別に、現時点で出品者は犯罪者に堕ちてしまったのか・・・。

今回の事件で倉庫 番が一番気にしている事は「出品者の事故死」である。店長に連絡をとり、残金を聞き続けているのもそれが理由だった。出品者がなんらかの事故で死亡した場合、D-45はどうなるのか? ショップ店長としては、長期に渡り取り置きされていた商品が、突然引き取られなくなる状況に追い込まれる。そう簡単に売り飛ばせる金額でも無いギターだ。

次に考えられるのは、倉庫 番が残金を支払って引き取る可能性だった。これで、ショップとしては商売成立するが、倉庫番としては、余計な出費が発生する事態になる。だが、すべてを失うよりはまだましだろう。その選択肢が在るとすれば、常に残金の状況を把握しておく必要が倉庫 番にはあった。

だが今、その残金がいくらなのかは店長も把握できていなかった。店長はショップに持ち込まれた金額を積み上げているだけである。店長は出品者がある程度現金を持っていると信じているようだ。その為、合計で残金が5万円程度になっていると信じているのだ。

倉庫 番の読みは違っていた。出品者は現金なぞ持っていない。持っていればとっくに、ショップに支払っているはずだ。残金を少しでも減らして倉庫 番の問い合わせに対応出来るようにしたいはずだ。それをしない。あるいは出来ない状況が出品者に在るはずだ。「相当無理をして対応していますが」がそれを的確に表しているのだ。

多くの人を騙したあげく「相当無理をして対応していますが」とは笑わせるフレーズだった。倉庫 番が今まで決して明らかにしていなかった出品者の事実がある。それを念頭にこのフレーズを読むと爆笑してしまう程の哀れさが出品者に漂っているのだった。「出品者の事実」とはなんだったのだろうか?

「恫喝」がそれだった。かつて出品者のトラブルが発生し始めた頃、落札者達は「警察へ被害届」を出すぞ!と、評価欄に書き込み始めた。さらに「非常に悪い」と評価をつけ始めた。その途端、出品者はそれらの落札者に対し「悪評」をつけ返し、さらには電話でオドシをかけていたのだった。ヤバイ仲間がいるとのふれこみがあったようだ。

その為、評価を「非常に悪い」から急に「非常に良い」に書き直す者も頻発していた。だが、現実には出品者は身動きが取れず「恫喝」を繰り返すだけで、警察捜査の手がのびるのを怯えながら待っていたのでろうか。その後、オークション側はいったん入れた悪評を描き直せないシステムに切り替えてしまった。これで、出品者の恫喝作戦も意味をなさなくなってしまった。

倉庫 番に対してはそのような電話による「恫喝」は来なかったが、一か月目に届いた一通のメールで出品者の本性が見えてしまった。その瞬間、倉庫 番はこの取り引きに対し、しつこいまでの「俺は許さん魂」を発揮し始めたのであった。そのメールには、出品者の肩書きが書いてあった。今まで届いた膨大な数のメールの中でも、そのメールにだけ肩書きが書かれていたのだった。

「●●グループ総代表 ●●●●」この肩書きは何を意味するのだろうか?なんとでも理解出来る肩書き。だが、その裏には「俺はヤ●ザだ!」と言外に表現したがっているのが感じられる。たった一人でセコセコオークションに出品しているのに「総代表」とは笑わせる。ヤクザの親分がこんなにセコくて金にならないシノギをするはずが無い。さらに本文の中にも「恫喝」と解釈出来る文章があった。邪悪!倉庫 番は許せなかった・・・。

倉庫 番の対抗策は「病気見舞い」を宅急便で送る事だった。一見、出品者には恫喝に屈したように見えたはずだ。だが、これは巧妙な戦術だった。敵の現住所を確認し、油断させるための方策に過ぎなかった。攻撃する為には、敵の存在位置を正確に知ることは戦略の基本である。病気見舞いを無事に受理したと出品者から連絡があった時点で、この出品者は倉庫 番の手の平に乗っていた。

下手をすれば「おどし」ともとれるメールを書いた事実は、出品者のミス行為だった。これによって倉庫 番が恐怖感を持ち「病気見舞い」を送ったとしたら・・・刑法第222条「脅迫罪」に該当する恐れがある。2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性が在る。そのメールは、証拠としてテキストデータが倉庫 番の手元に今も残っているのだ。

出品者をひねりつぶす準備は整った。「警察への通報」や「告訴」はいつでも実行出来る。タイミングを見計らっていた。だが、ひねりつぶすだけでは、ただトラブルを終わらせるだけで、被害が回避出来るわけでは無い。やがて、出品者への落札者達の声は多くの「被害届」となって所轄警察に届くようになった。倉庫 番はそれすら出す気は無かった。被害届を出せば出品者は動けなくなる。返金させるにしろ納品させるにしろ「相手を働かせ金を稼がせる」ことが作戦上必要だった。

「苦しめ!そして大いに無理をして金策しろ!
    それがお前の償えるたった一つの方法だ!」








10月31日朝。メールが届いた。前回のメールで約束された期限だった。約束に意味は無かった・・・。

「おはようございます。液晶とパソコンで整備でき次第 持込します。
 いつも遅れていますが、目の先まで到達していますので、よろしくお願いします」

性懲りも無く、何度も繰り返される言い訳だった。半年前と同じ言い訳だった。出品者が言う「目の先」まではどれほど距離が在るのだろうか。1年近くかかっても届かない目の先・・・。宇宙が誕生して以来、空間が膨張し続けていると知識レベルでは知っていたが、これほどまでに宇宙空間が膨張して「目の先」までが遠くなっているとは気付かなかった・・・。倉庫 番はそう感じた・・・(感じるなよ〜!)

11月11日朝、メールが届いた。

「おはようございます。液晶を明後日位に持ち込めますので、
 またここにいたっては、今まで何度も言いましたが、
 最終期限として11月中、確約させていただきます」

出品者の「確約」にまったく意味が無いのは明らかだった・・・。再び「惰性」の日々が始まる。

*このストーリーは、現実をモチーフにしたフィクションであり、
 登場した個人名、団体名、地名、商品名等は架空のモノです。
 ひょっとして実在するかも知れませんが・・・!(なんだよそれ?)




本日の結論
間もなく1年目を迎えようとしている。これからも「惰性」をお楽しみ下され!

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