六弦的魔力事

2003年02月12日 事情が見えて来た!


この幻を追い続け27年。

「それを裏切ってみる事にした」

悟りの「事情編」に突入!

2003年1月末、出品者のオークション取り引き評価欄が急に変化を始めた。他の落札者達が急激に動き出していたのだ。倉庫 番(くらこ つがい)は刻々と変わる評価欄を見て笑っていた。そう来たか・・・。

そういえば「2●ゃんねる」の暴露書き込みはその後どうなったのだろうか?久々に覗いてみた。丹念に読み進むとそこには予想していなかった書き込みがあった「パスワードを教えてくれ!」これは「六弦的魔力戦」を指しているに違い無かった。倉庫 番は大笑いをした。ウオッチャー達は、まだ飽きずにそこに存在していたのだ。

そして、2月に入った。落札後70日をとっくに過ぎていた。まだまだ春は遠かった・・・。

♪〜〜〜風の中のす〜ばる〜〜〜(今週もまだ1位か?)〜〜〜♪

私家版

プロジェクト
HEX(ヘックス)
「D-45を追え!事情編」

1月末突然、出品者から送られて来たメールを見た。その一部には思わぬ文字があった。

「この品物の評価が必要です。」

意味を理解するのにしばらく時間を必要とした。まだD-45を受け取っていない今の状況で倉庫 番に評価させれば「不評」を書き込むに決まっていた。「不評」を要求しているのか?そんな事は無いはずだ。これは、出品者が溜っていた未発送分を処理し一気に大量発送し始めた為、落札者全員へ向けたメッセージメールだと思われた。つまり、最近になり次々「不評」が書き込まれ始めた評価欄に「好評」を書き込ませ一気に形勢逆転を狙ったのだろう・・・。これは、出品者は体力を取り戻し、発送作業を開始したと理解できた。

だが、その作戦は「諸刃の剣」となった。品物を受け取った落札者達は「好評」を書き込み始めたが、相変わらず遅延し届けられていない人々は「不評」を書き込み始めていた。交互に「不評」と「好評」が重なり始めていた。書き込みとして「好評」は簡単だが「不評」はそれなりに何故不評なのか詳しく書く必要があった。必然的に「不評」の記述の方がボリュームを増し、説得力を持っていた。

そのなかで倉庫 番はある微妙な変化を感じ取っていた。出品者の落札者への対応が変化しているのだ。かつて「不評」を書き込んだ人々へは「挑発的」態度を露にしていたが、急激にそれがなくなり、真摯に対応し始めているのだ。心当たりはある。数日前に、出品者の一人が評価欄でついに「本日警察に被害届を出した!」と宣言したのだ。

オークションのバーチャルな取り引き環境では、文字による情報交換をするうち、その真意が読み取れなかったり誤解によって「無駄に激怒」する事がある。お互いにそれがエスカレートすると「訴えてやる!」「訴えてみろ!」と低レベルの戦いが始まってしまう。その典型的なケースだった。

このようなケースに巻き込まれると、実は出品者の方がかなり不利になる。騒がれれば騒がれる程「あらぬ疑い」をかけられ、当事者以外の人々にも「怪しいぞ〜!」と思われてしまうのだ。その為、取り引きがセーブされる事になる。商いをするものとしては命取りになりかねない。風評の被害と言うやつだった。

阿鼻叫喚の評価欄を見つめ倉庫 番は久々に沈黙を破ってみる事にした。「報復」ではないが、すこしだけ揺さぶりをかけてみる事にした。方法は「キャンセル」をほのめかす事だった。今までは「D-45欲しさに黙り続けているアブナイヤツ」を演じ続けていたが、それを裏切ってみる事にした。

商品はそのコンディションに不都合があり修理しているとか、手配がまだ間に合わないとか言い逃れが続けられるが、ことキャンセルされた現金になると、そうはいかない事情があった。振り込めば済むだけだからだ。すでに落札者から現金は振り込まれているのだ。返金を延期させる理由が無い。それが手元に無いとは言えない。現時点での高額商品のキャンセルは出品者に辛いはずだった。

「こちらとしてはこれほど届かないのなら、キャンセルしてもかまわないですよ。どうします?」と、判断を出品者に委ねてみた。最近のオークションルールでは「キャンセル言い出しっぺ」には自動的に「悪評」がカウントされるシステムになっていた。自分から言い出すと不利になるのだ。相手にキャンセルさせなければ意味が無い。出品者の動揺が予想された。意外にも返事はすぐに来た。

こんにちは。ありがとうございま。
評価は覚悟の処置です。遅れたものには全てわけがありますがなお対応しています。
D-45はキャンセルは少しお待ちください。物はありますし、只私の事情です。
いま少しお待ちください。
5000件売ってきましたが100近くはトラぶりました。これは通算です。
しかし、時間がかかってもまず対応はしています。
表に出ない数十倍は解決しながら進めています。よろしくお願いします。

新しい「言い訳の技」で出品者は切り返しては来なかった。つまらない・・・。言い訳の新ネタがこのところ倉庫 番の楽しみとなっていたのだが・・・。今もD-45の対応が出来ないでいる理由は分からないが「私の事情」で発送できていないと言い続けている出品者。その「私の事情」とは何だろうか?モノがあるのに発送できない理由とは?ずっと続いている倉庫 番の疑問はその1点だった。

出品者の存在を「是認」するのであれば、その疑問を解決し納得しなければならない。「商品は存在する」だが「発送できない」この矛盾をクリアする事情はどのようなものなのか?常識的に考えれば「商品があればすぐ発送」となる。だが、現実には発送できない状態が延々続いていた。では、出品者を「否認」するのか?それでは今まで続けて来た「六弦的魔力戦」の意義が根底から覆される事になる。倉庫 番は「是認」にこだわってみた。

出品者はいったい何点の未発送商品を抱え込んでいるのだろうか?30日間分が遅延していたとして、一日当たり10個出品とすれば300個が発送されていない事になる。商品チェックをこなしながら一日に何点を発送出来るのだろうか?20点が精一杯か?商品の出品を止めて頑張れば2週間で解決出来ると予測できた。出品者は2月に入り1点も出品していなかった。発送に専念する為だと知らせて来た。計算上は今あ週末には総べて発送が終わる事になる。それは可能なのだろうか?

他にも疑問を持つ人々がいた。登録会員達だった。「何故、倉庫 番はここまで余裕を持って待っていられるのか?」その疑問に溢れていた。そして、倉庫 番にはまだ彼等に知らせていない事実があった。D-45の下取り価格の現実についてだった。

D-45は定価105万円だが、いったん買ったD-45を下取りに出すと、楽器屋はいくらで引き取るのだろうか?調べてみた。WEBに発表されている某楽器店の中古品買い取り価格は、20万円〜25万円となっていた。仕入れ価格の50%以下という計算になる。買ったばかりの新品状態のコンディションでも引き取り価格30万円程度となりそうだ。これが再びクリーニングされ店頭に並べられれば55万円〜60万円程度の価格がつけられるはずだ。さらに5%の消費税も加えられる事になる。この下取り価格は、楽器屋によっても査定金額はかなり変化するだろうが・・・。

今回のD-45もそのような下取りの結果生まれた商品である可能性があった。つまり、25万円以下で下取りされたD-45が仲間内の業者価格で転売された可能性だ。そうなると、あの落札価格43.8万円でも充分に利益を生む事ができる。入札時にそれに気付いた倉庫 番は、楽器店の店頭販売であれば考えられない43.8万円という価格でも、このケースでの売買ではあり得ると判断したのだった。定価105万円。中古品でも60万円クラスの商品が、43.8万円で手に入るのならばしばらく静かに待ってみる価値はある。

倉庫 番は久々にオークションで別のモノを落札してみた。妻から頼まれていたタイエット・サプリメントだった。2月4日夕方落札したのだが、6日の午後15時にはもう佐川急便が届けてくれた。日本国内であれば、宅配便は確実に中1日で届けられるシステムは完成しているのだ。しかし・・・このシステムがありながら、D-45は落札後80日を過ぎた今日も届いてはいなかった。倉庫 番は待つ事に馴れ過ぎた気がしていた・・・。

♪〜〜〜エンディング・テーマ〜〜〜♪

2月11日。倉庫 番は出品者に向け再度質問メールを送ってみた。
「まだしばらく待てと言われるのなら、詳しく『私の事情』を知らせて下さい」
翌朝、事情説明のメールが返って来た。今までに無い長文だった。
落札当初から知る事がなかった事情がそこに明記されていた。
倉庫番が予測していた部分と、予測出来ていなかった部分が錯綜していた。
何故、納品予定日が刻々と遅れて行ったのか・・・意志のすれ違いの原点がそこにあった。

♪〜〜〜予告・テーマ〜〜〜♪

待たされる理由がいま明らかになろうとしていた。
「私の事情」が明かす真実とは・・・。だが・・・それは真実なのか? 決着の日は近いのか?

*このストーリーは、現実をモチーフにしたフィクションであり、
 登場した個人名、団体名、地名、商品名等は架空のモノです。




本日の結論
何が「私の事情」なのか?分かる人はいます?

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