六弦的魔力沈

2003年01月29日 さらに予測した通りに展開する!


この幻を追い続け27年。

「自分自身の傷口を広げる」

逆境の「沈黙編」に突入!

1月27日に発送手配を終えると出品者は約束をしていた。だが「これが最後の約束です」その言葉を倉庫 番(くらこ つがい)は信じていなかった。 予定通りならば28日に配送検索に乗り、29日には届けられるはずだが、決してそうはならないと確信していた。

やがて1月が終わろうとしていた。倉庫 番は更に深い陰湿な作戦を練り始めていた。

♪〜〜〜風の中のす〜ばる〜〜〜(今週もまた1位か?)〜〜〜♪

私家版

プロジェクト
HEX(ヘックス)
「D-45を追え!沈黙編」

1月26日、倉庫 番が出品者に向けてついに放った「魔法の呪文」は簡単なものだった。信じ続けている風を装っているが実は出品者にとってはかなりキツイ内容になっていた。

「発熱で身動きが取れず、ヤマトへ持ち込めないとの事情の様ですので、
  こちらでヤマト便を手配して●●様宅へ集荷に向わせます」

本来であれば「自分で引き取りにいきます!」と書くのだろうが、東京方面からそれを言うのは自然でなかった。その気になればいつでも業者を使って回収に行かせる事ができると通告したのだった。その作戦は見事に効いて11分後に返信メールが「これが最後の約束です」と届いたのだが・・・。

ヤフーオークションには「評価システム」がある。落札した者、出品した者、双方がその取り引き結果に対して「評価」書き込むのである。さらに、取り引き途中のトラブルに関し途中経過を書き込む事もできる。取り引きが長引き不満が募れば落札者は「とても悪い出品者です」と表示し、その理由を書き込むのである。それは決着がつくまで何度も書き込む事ができる。これは、その当事者以外の落札者へ警鐘を鳴らす為のシステムでもあった。

倉庫 番は今回の取り引きに対し、途中経過を書き込もうと思えばいつでも書き込める状況にあった。だが・・・あえてそれをやっていなかった。倉庫 番には計算している大きな理由があった。まず、出品者に「信じている落札者」だと思い込ませる事だった。そして、さらに大きな裏の企てがそこに潜んでいた。

倉庫 番がD-45を落札した時、多くのオークション・ウオッチャーが存在した。彼等にとって、2か月以上も「D-45」の評価が出現しないのは不気味であった。なぜ、落札者はこれほどまでに途中経過を書き込まないのか?取り引きが何故終了しないのか?「何かが起こっている!」そう推理するに充分な「書き込まれない期間」だった。

D-45は、今までこの出品者が扱った最高金額の商品だった。それがいつまでも納品されず「評価」されないのだ。倉庫 番はそれを逆手にとった。出品者に伝えるべき事は総べて直接メールを送りつけ続けていた。いつまでも「評価」には手を触れることはなかった。公式的には決して進捗状況がわからないようにしておいた。この状況に気付けば他のウオッチャーたちは「詐欺だ!」と騒ぎはじめるに違いない。

そして・・・オークション・ウォッチャーや他の落札者達もついに倉庫 番の沈黙に気付き始めた。出品者の評価欄に倉庫 番の件だと思われる書き込みが出始めていた。「他の高額落札者もまだ商品が届いていないようですが・・・」と自分の事だけではなく書き込まれ始めていた。注目している人々が多い事がうかがい知れた。

倉庫番がまさに狙っていた反応はこれだった。多くのウォッチャーが「D-45」の推移を見守っていると出品者に認識させる事だった。かなりの数の督促メールが出品者には届いているだろう。その中にはこの件もいくつか含まれているに違い無かった。出品者は、ここにきてようやく「D-45」を配送しない事の重大さを認識し始めているはずだった。

「悪質出品者」として口座番号が発表された今となっては、この状態は深刻なものだった。ここ数日、この出品者に対する「悪い」評価が少しずつ増え始めていた。なんとかして、挽回しなければ今後の商売のさまたげになる。オークションから閉め出される危険がある。出品者は必至に対策を練っているはずだった。なんとかして早く倉庫 番に良い評価を書き込ませる事が急務となっているはずだった。

1月28日になれば「最後の約束」が本当に「最後」であるかどうかは、WEBのヤマト便配送検索で判明する。それをチェックし「最後の約束」が守られていないと判明すれば次の手を打つだけだった。1月27日夕方、倉庫 番は出品者を「いたぶる為」の次の策を練っていた。そこに出品者からメールが送られて来た。その文体は乱れていた。

こんにちは何とか本日中にクリアできます。(こちらの事情)
とにかくお任せください。2〜3日で お手元に間違いなく届きます。
この品物の評価が必要です。その件も理解できましたので。
●●

元気はいまいちですが 本日30件発送があります。
ありがとうございます。
掲示版も消していただいたとのこと感謝しています。


ふふふふ・・・28日の配送検索の前に手を打って来たか!倉庫 番はこのメールの分析を始めた。良く読むと、前半部分は「督促メール」に対する一般的返事であると解釈できた。つまり、押し寄せるメールに対して定形の文面で返事を出しているのだ。前半最後の行にある「その件も理解できましたので」とあるのは苦情の件だろう。だが、倉庫 番は「その件」にあたるメールは出していなかった。だが、後半は少しだけ倉庫 番の過去の動きに対して書いてあった。70日も前の件について、何を今さらと思える内容だった。

「お手元に間違い無く届きます」今まで何度も読まされた文章だった。この言葉にはすでに麻痺していた。まったく意味を持たない文章だった。倉庫 番は再び「黒い炎」を揺らめかせていた。出品者はようやく倉庫 番がいつまでも「評価」を書き込まない「無反応」の意味に気付いたようだ。もう遅い。人々のすべての評価はすでに始まっていた。次々にオークションの評価欄に「とても悪い出品者です」と書き込まれ始めた現実があった。

早く倉庫 番へ「D-45」を届けなければ・・・届けなければ、出品者の傷口は広がるばかりだった。今度は2日〜3日で届けると言い張るのか?「受けて立とう!」倉庫番はメールを眺めながら呟いた。倉庫番にはまだまだ時間の余裕はある。出品者よ!いくらでも引き延ばすが良い!いつまでも待ってやる!だが、引き延ばした分だけ自分自身の傷口を広げる結果となるのだ。今回のメールに対しても倉庫 番は返信しなかった。さらに沈黙を続行した。

♪〜〜〜エンディング・テーマ〜〜〜♪

今もまた延長され続ける納品日。出品者がオークションから放り出されるのが早いか?それともD-45が納品されるのが早いか?事態はさらに深刻度を増していた。・・・。その日、倉庫 番は次の「報復攻撃」を思いついた。その瞬間、黒い炎は怪しく揺らめきながら、倉庫番の心の闇を燃え広がって行った・・・。

♪〜〜〜予告・テーマ〜〜〜♪

*このストーリーは、現実をモチーフにしたフィクションであり、
 登場した個人名、団体名、地名、商品名等は架空のモノです。




本日の結論
いやはや面白い出品者ですねえ・・・。

------------------------------

「独断倉庫」に関しての御意見は「啓示倉庫」へ書き込んで下さいな。



GO TO HOME PAGE